2022年9月26日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2013年1月28日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 復興構想会議の「復興構想7原則」(2011年5月10日)の5には、「大震災からの復興と日本再生の同時進行を目指す」と書いてある。

 さらに、東日本大震災復興基本法の第1条には「東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図る」とある。これは「ねじれ国会」で廃案になった菅内閣の原案の「被災地域の復興を迅速に推進して被災地域の社会経済の再生及び生活の再建を図り」を、民主党・自民党・公明党の議員立法で作り変えたからだ(朝日新聞12年10月19日等)。素人の民主党案では全国に配れないから、玄人の知恵で全国に復興予算を配ることのできる法律になったのだ。要するに、この段階から、被災地だけでなく全国で予算をぶんどろうと考えていたのだ。

 政府は全国に配る予算であることを隠していた訳ではない。財務省が作った予算の簡単な説明書にも、全国防災対策費、立地補助金、節電エコ事業、レアアースの安定供給確保、海外展開を行う中小企業の経営基盤強化などと書いてある(日本の財政関係資料―平成23年度3次補正後予算)。どう見ても地震とは関係なさそうな経費だ。

 さすがに、反捕鯨団体に対する監視船の借り上げ費用が入っているとは私も思わなかったが、いかにも関係なさそうな項目が大書された資料がマスコミにも配られ、新聞紙面にも躍っていたはずである。

 19兆円もの予算であれば、俺にもよこせになるのは当然のことで、その当然のことが起きただけである。もちろん、民、自、公とも、過去のいきさつにとらわれず、今からでも遅くはないから、反省して予算を見直すのは良いことである。しかし、ここで節約できる予算は、億の単位である。それよりも、兆の単位になる無駄がある。

被災した額以上に予算がつく謎

 ガレキ処理関連の予算を足し合わせると1兆821億円である。なぜこれほどの巨額の費用がかかるのだろうか。東日本大震災で破壊された住宅は35.3万戸である。他にビルや漁船や公共施設も破壊されている訳だが、分量的には住宅が圧倒的なシェアを占めているだろう。住宅だけとすると、一戸当たりの処理費は307万円である。

 何かおかしくはないだろうか。家を建て直すとき、古い家を解体して整地してもかかるのは100万円程度だ。しかもすでに壊れている家の処理だけで整地もしない。一刻も早く処理するためにガレキをコンテナに載せて運び、全国で処理するというのだが、コンテナで運ぶなど大変な費用がかかる。

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