2024年12月23日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2012年7月20日

 東日本大震災からの復興のための2011年度政府予算、15兆円のうち、4割が使われなかったという。道路や橋などの建設に予算をつけすぎたため、使い切れなかった。

 残ったのは5.9兆円だが、4.8兆円は12年度に繰り越され、予定通りに復興事業に使うが、1.1兆円は使い道がないため、国庫に戻すという(朝日新聞6月29日付他各紙)。

 中でも、復興庁の繰越額1兆3101億円、不要額38億円、国土交通省の繰越額9571億円、不要額5162億円、環境省の繰越額5799億円、不要額344億円などが目立つ(復興庁「平成23年度東日本大震災復旧・復興関係経費の執行状況(予備費・1次~3次補正)」6月29日)。

最初の予算が大きすぎた

 あれだけの大災害の後で、被災地の役所も損害を受け、中央官庁も混乱していたのだから、過大な請求があったのは止むを得ない。多少の非効率や無駄があっても、一刻も早い復興を優先すべきという理屈も分かる。また、必要な道路や橋などインフラの復旧には引き続き取り組むべきだ。

 しかし、これほど予算が余ってしまったのは、そもそも最初の予算が大きすぎたのではないだろうか。

 本欄「被害額6兆円で震災復興予算が23兆円のなぜ」(2011年11月16日)でも書いたように、東日本大震災の被害額は、民間資産4兆円、公的資産2兆円の、合わせて6兆円程度である。もちろん、この中には原発事故の被害額は含んでいない。地震と津波は天災だが、原発事故は人災なので区別すべきと私は考えているからである。

 23兆円も壊れていないことは、被災地の自治体も認めている。

 農林水産業と公共土木施設などを合わせた被害額は、岩手県が7704億円、宮城県(仙台市を除く。以下同じ)が1兆8135億円、仙台市が5451億円、福島県が5915億円であるという(各県市の復興計画の参考資料などによる)。


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