イスラエルは世界でも非常に進んだサイバー国家の一つである。その理由として、サイバーセキュリティー業界の内部から、新たな成長が生み出されるシステムが確立しているからだ。ハイテク業界も国内外からのベンチャー投資によって成長が著しく、次々と新しいビジネスが誕生する基礎となっている。

また男女ともに徴兵制がある。その過程で多くの若者がサイバーセキュリティーの実践に触れる。兵役が終われば、身につけたトップクラスの経験をもとに、民間セクターでのイノベーションを後押しする。イスラエルでは、情報機関であるモサド(諜報特務庁)が注視しているように、敵国と継続的に軍事的な紛争を続けており、サイバー領域での攻撃にも対応している。それが実務経験となって生きていく。
こうした国家的なサイバーセキュリティー戦略において、敵と対峙するために常に次のレベルのインテリジェンス活動を求めてきた。それにより高いスキルを持つサイバー攻撃者を生み出している。
イスラエルでは2012年、首相府に国家サイバーセキュリティー局(INCB)が設立された。18年にはそれが国家サイバー総局(INCD)となり、イスラエルのサイバー防衛とサイバー領域の強化に責任を持つ、国家的に非常に重要な政策がとられている。安全で開かれたサイバー空間を維持するため、モサドやイスラエル国防軍が安全を担っている。
サイバーセキュリティーにおいて、われわれは今、大変な時代を生きている。民間企業も公的組織も、大企業も零細企業も関係なく、かつてないサイバー攻撃の脅威に晒されているからだ。サイバー犯罪は体系化され、
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いまやすべての人間と国家が、サイバー攻撃の対象となっている。国境のないネット空間で、日々ハッカーたちが蠢き、さまざまな手で忍び寄る。その背後には誰がいるのか。彼らの狙いは何か。その影響はどこまで拡がるのか─。われわれが日々使うデバイスから、企業の情報・技術管理、そして国家の安全保障へ。すべてが繋がる便利な時代に、国を揺るがす脅威もまた、すべてに繋がっている。