企業組織にも通じる 舞妓システム
更田氏の話を聞きながら「ちょっと待てよ、AMJのシステムも似ているぞ」と思い当たった。わが社は30人足らずの社員数だが、そのうちトレーダー(舞妓と芸妓)は12人である。去年はたった12人で年間720億円の売上を上げたから一人当たりの売上は単純平均60億円である。各トレーダーの担当商品や市場分野は一応4チーム(置屋)に分かれているが、がちがちに固定されているわけではない。
各担当者はチームを超えてプロジェクトごとの横断組織を結成しても自由なのだ。つまり、各トレーダーの機能(特殊言語や専門知識など)を生かした新グループで自由に活躍できるシステムになっている。商品以外でも、特殊言語や市場別分類を生かした挑戦ができる。少数精鋭主義の強みを生かせるから便利だし、何よりも顧客(お茶屋のお座敷)満足度が高いと思っている。
京都モデルでは、舞妓はんは織屋さんの最新ブランドを着て歌舞練場の舞台に立つが、わが社の若手トレーダーもレアメタルの国際会議で必ず日本を代表してプレゼンをするように義務付けている。10年足らずの企業のシステムと伝統芸能の祇園のシステムを一緒に語るのは失礼かもしれないが、長く継続している伝統の中にこそ原理原則に培われた知恵が生きているものだ。
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