軍事介入はフランスのエネルギー安全保障のため
今回、フランスが攻撃を急いだのは、マリがイスラム過激派の手に落ちれば、次は隣国ニジェールまでもが過激派に侵食されるのではないかと恐れたからだ。ニジェールにはアフリカ最大のウラン鉱床があり、実はフランスの原子力大手アレバが権益の3分の2を保有しているのだ。見方を変えれば、今回の軍事介入はフランスのエネルギー安全保障のためとも言える。
「アンサル・ディーン」とAQIMはともに、「十字軍による介入」とフランス軍を名指しで強く非難。フランスはマリ北部への空爆の数日後に、陸上部隊の派遣を決め地上戦へと突入した。こうしたイスラム教徒への殺害行為をやめさせるため、マリから国境を越えてアルジェリアに侵入してきたイスラム過激派は、欧米企業の運営するガス関連施設を襲撃したと見られている。
アル・カイダの活動拠点であったタリバン支配下のアフガニスタンのように、マリ北部では厳格なイスラム化が進んでいる。世界遺産都市トンブクトウでは、偶像支配を認めていないという理由で、イスラム教指導者の聖廟が破壊された。また非イスラム的として街中での禁煙が禁じられたほか、女性は外出時にベール着用を強要されている。
これまでアフガニスタンやイラク、イエメンなどでのアル・カイダ系組織によるテロ事件に注目が集まっていたが、新たに西アフリカや北アフリカまでがテロリストの巣窟になりつつある。マリがアフリカのアフガニスタンとなることのないよう、フランスだけでなく国際社会が結束して対応する必要がある。
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