2024年12月6日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月3日

 また今後経済が大きなイシューになると思われ、両候補の経済政策が注目される。尹錫悦も効果的な経済政策が必要となる。外交問題では既にある程度の議論は出ている。李在明は、今のところ文在寅政権の政策の範囲内のことしか言っていない(南北や対中関係を重視、対日・対米関係は慎重)。尹錫悦は、現実主義で、日米韓や日韓関係重視、対中警戒、南北警戒と言える。

候補者が日本大使と会見という異例事態も

 日韓関係については、今後実際の行動を見る必要があるものの、李在明は対日強硬、尹錫悦は現実的である。李在明は、対日強硬のイメージ払拭のため11月下旬頃より実用主義で行くとスタンスを修正したが、これまでの強硬な発言は消し難く、ポピュリズムの動向や党の枠の規制も受けるだろう。尹錫悦については日米韓、日米関係重視の発言は安心感を与える。

 今回選挙で異例のことは両候補が日本大使と会見したことだ。11月下旬、尹錫悦は相星駐韓大使と会見した。日韓関係改善のカードを公式化した。

 それから1カ月後の12月下旬には李在明も日本大使と会見した。日韓関係が選挙の直接のイシューになっている訳ではないが、日韓関係の改善の一般的必要性は多くの国民の間に一定の底流として共有されていると思われる。

 しかし、特にいわゆる「労働者問題」(徴用工問題と呼ばれたりもするが適切ではない)は、解決案の中味が問題であり、韓国側が「国内措置」として解決しようとしない限り、解決はなかなか見通せない。それにしても文在寅政権の過去5年の責任は大きく、「労働者問題」と「慰安婦問題」の二つの問題が日韓の「永遠のトゲ」となって歴史に残らないよう、文在寅には残る数カ月の間にもそれを解決する責任があると言わざるを得ない。

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