韓国は12月13日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)加盟の措置開始を推進することを決定した。洪楠基(副首相兼財政部長官)は、同日の関係閣僚会議で、パブリック・コメントを求め、加盟のための議論を開始する、と述べた。
しかし、韓国の腰は定まっていない。中央日報の12月14日付社説は、政権の任期が後5カ月しかない政府の決定は、単に観測気球を上げているだけではないのか、結局実際の参加は次期政府任せではないのかとの疑念を表明している。
洪楠基副首相の発言も、文在寅の豪州国賓訪問とタイミングを合わせた大統領訪問の支援目的だったのではないかとの疑念も一部から出ている。豪州のモリソン首相は韓国のTPP加盟につき「歓迎する」と記者会見で応答している。一部メディアは「韓国TPP参加申請」などと見出しを付けているが、実際は申請のための「世論収束と社会的議論の着手」であると、政府は慎重な発言をしている。
なぜ韓国は腰が定まっていないのか。TPP加盟問題は韓国にとり、進むも茨、留まるも茨の力が働いているためである。
まず、なぜ韓国はTPP加盟を進めようとしているのか。主要な議論は三つである。第一は中国の加盟申請が圧力となっている。疎外化は避けたい。
第二は、TPPに乗り遅れれば韓国企業に不利益になる。韓国では、二国間の自由貿易協定(FTA)や地域的な包括的経済連携(RCEP)(1月1日に発効。なお韓国は批准の国内手続きが遅れ、急遽国会手続きを加速化、3日批准書を寄託、韓国には遅れて2月1日から発効)があるからよいではないかとの議論があるが、それでは韓国企業は対日関係でTPPの利益を、メキシコとの関係でTPP利益、RCEP利益、二国間利益を享受できない(韓国とメキシコとの間にFTAはない)。