2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月1日

 北朝鮮は新年早々、新たなミサイル実験を繰り返している。極超音速ミサイルではないかとも言われている。米国は従来同様、同盟国と非難声明を発出し、新たな制裁を発表した。しかし、バイデンの「戦略的忍耐」は持続可能ではないように見える。

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 ワシントン・ポスト紙コラムニストのジョシュ・ロウギンは1月13日付けの論説‘We can’t neglect North Korea for another year’で、北朝鮮をもう一年無視することはできない、人道支援のキッカケを掴むべく北を試していくべきだと述べている。

 ロウギンは、⑴ 北朝鮮は2021年世界保健機関(WHO)からの医療物資支援の受け入れを再開し、国際赤十字が同国内で活動を行うことを許可した、⑵ 金正恩の最近の動きは米のワクチンを含む大規模の人道支援を受け入れる兆候とも受け取られ、米国はこれを試すべきだ、⑶ それは交渉のキッカケになるかもしれない、と言う。

 コロナ対策を含む人道支援の可能性は以前より多くの者が言ってきたことであり、誰も異論はないであろう。しかし、目下バイデンが、対中関係、ウクライナなど対露関係、より良い再建法案の議会通過などに忙殺されている現状には留意せざるを得ない。しかし、北が真剣に重大なシグナルを出してきているのであれば、米国は逃すことなく追求していくべきだろう。

 1月17日にも北は再びミサイルを発射した。今年になって4回目となる。北のシグナルは判然としない。北が交渉に出て来ることを拒んでいる以上、他に良いオプションはない。その間に北の武器開発が進むことは、我方にとりジレンマだが、北に交渉の主導権を与えることも得策ではない。当面は国際社会の結束を維持し、ワクチン支援などあらゆるキッカケを見つけながら、辛抱強く対処するしか妙案はない。

 北には硬軟両様の対応が必要である。1月12日の米の独自制裁は評価できる(ロシア人を含めたことも良い)。また、米国がこれを基に安保理による制裁拡大を提案していることも適切である。日本など関係国の非難声明発出も良かったと思われる。


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