2022年12月4日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月1日

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 目下対中国、ロシア関係は厳しいが、北の問題には努めて中国とロシアの関与を求めることも必要だろう。中露の対北協力(政府の関与だけなく民間の関与、取引を含めて)を遮断することが重要である。北が武器の委託実験場になっているのではないかと勘繰りたくもなる。

バイデン政権を苦しめる文在寅のこだわり

 文在寅は、朝鮮戦争終了宣言の発出に執着している。文は豪州訪問(12月)中、米中と南北は戦争終了宣言に原則合意したと述べ、北の条件は米国による対北敵視政策の終了であり、そのために南北や米朝が交渉につけないでいると述べた。

 これに関連して、米国のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャが、「(韓国は)同盟国をコーナーに追い詰めるな」と題する異例の批判記事を書いている(12日付朝鮮日報英文)。文在寅政権のやっていることは、まさにバイデン政権を追い詰めていると言ってよい。文在寅政権による自分のアジェンダ推進のための不正確な記者発表や過早な発言の事例はしばしば見られてきた。

 なお、文在寅は戦争終了宣言を米と合意し、北の同意も得て、2月の北京冬季五輪に乗り込み、南北外交を展開することを構想してきた。しかし、12月6日に米国は北京五輪の「外交ボイコット」を発表、1月5日には北が北京五輪不参加を正式に通知した(金正恩の訪中もない)。

 文在寅は12月上旬から「北京五輪ボイコットは検討しない」と言い続けたが、1月12日に青瓦台は、文在寅が北京五輪には出席しないと正式に表明した。これで文在寅の戦争終了宣言構想や南北五輪外交構想は霧散した(退任の5月までにまた動くかもしれないが)。文在寅の構想は余りにも現実を無視した、独善的な構想だと言わざるを得ない。

  
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