1994年、中華人民共和国(以下、中国)の李鵬首相(当時)は、オーストラリアのジョン・ハワード首相(当時)に対し、「日本の繁栄は一時的なあだ花で、20年後には国としては存在せず、中国か韓国、あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれない」と発言したことがある。幸いなことに、それから27年後の今日、日本は、未だ独立国として存在し、世界第3位の経済規模を維持している。
一方、中国は、この27年の間に異形の大国となり、相対的に力が後退しているアメリカを西太平洋から駆逐することを目指して軍事能力を増強している。仮に、将来、中国が目指すところが実現するようなことになったら、最悪の場合、日本は、西、南、東は中国に取り囲まれ、北からはロシアの圧迫を受けることになりかねない。
覇権主義、専制主義の中国とロシアに包囲されれば、李鵬氏の予言も現実味を帯びてくる。そのような事態を避けるため、日本は、自由主義・民主主義・法の支配という普遍的価値観の強い担い手となり、同じ価値観を共有する欧米諸国との連携をより堅固にして、覇権主義、専制主義の国と毅然と対峙していく以外に途はない。
今、日本の提唱した「自由で開かれたインド太平洋」という概念がアメリカ、インド、オーストラリアの賛同を得てクアッドの枠組みが動き始め、これに、イギリス、フランス、ドイツなども参加しつつある。まことに歓迎すべき状況と言えるが、ここで気になるのは、日本政府の「新疆ウイグル自治区」の状況に対する態度である。
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