2022年10月8日(土)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年2月13日

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詫摩雅子 (たくま・まさこ)

科学ジャーナリスト

1990年千葉大学大学院理学研究科修士課程修了、日本経済新聞社に入社。科学技術部を経て、日経サイエンス編集部。医療、心理学などの分野を担当。2015年日本医学ジャーナリスト協会大賞(新聞・雑誌部門)受賞(共著)。日本科学未来館勤務。

「Wedge」2022年2月号に掲載され、好評を博した特集「〚人類×テックの未来〛テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
 

 生物学で扱うものとしては最もサイズの大きな「環境」と、最小レベルの「DNA」がくっついた何とも奇妙な言葉である「環境DNA」。これを使った技術が生き物調査のありようを大きく変えようとしている。

 実際には「環境中のDNA」という意味で、土壌も対象にできるが主には「水中を漂う生物由来物質からのDNA」を指す。魚の場合、表面の粘膜やフンなどに含まれていたその魚のDNAが水中へと出て行き環境DNAとなる。

 本稿で紹介したいのは、1㍑の水に含まれる環境DNAを解析することで、その水域に棲む魚のリストが得られるという技術だ。ほんの7年ほど前に日本で開発されたばかりだ。

 海や川などでそこに棲む魚を調べようとすると、従来は、網などで実際に捕まえるか、研究者が水中に潜るか、水中カメラなどを使うほかになかった。人手も費用もかかり、気軽にはできない。さらにそうやって得た魚や画像からそれが何という魚種であるかを調べなければならない。「同定」と呼ばれるこの作業は専門家でないと難しい。魚は種類が多くて、図鑑を使うことさえ素人には簡単ではないのだ。

 環境DNAを使う調査法では、調べたい海や川の水をバケツですくい、その水をフィルターで濾しとる。フィルターに残っているものが試料となる。現場で行うのはここまでで、あとは研究室での作業となる。試料に含まれるDNAを抽出して、解析しやすいようにPCR法でそのコピー数を増やし、DNAの塩基配列を読んでいく。読んだ配列を公開データベースの登録データと突き合わせ、種の同定を行う。

 この調査方法の良い点は、……

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Wedge 2022年2月号より
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ

メタバース、自律型ロボット─。世界では次々と新しいテクノロジーが誕生している。日本でも既存技術を有効活用し、GAFAなどに対抗すべく、世界で主導権を握ろうとする動きもある。意外に思えるかもしれないが、かつて日本で隆盛したSF小説や漫画にヒントが隠れていたりもする。テクノロジーの新潮流が見えてきた中で、人類はこの変革のチャンスをどのように生かしていくべきか考える。

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