昨年、フェイスブックが社名を「メタ」に変更するなど、日増しに注目が高まる「メタバース」。そのビジネスとしての可能性について、米サンフランシスコを拠点にするベンチャーキャピタル・スクラムベンチャーズの宮田拓弥氏に聞いた。
クロスリアリティの
時代に突入する
パソコンがノートPC、そしてスマートフォンに進化したように、〝メタバース〟が勃興するのは客観的に見ても必然だと言える。スマホの次に来たのが、アマゾン・アレクサやアップル・シリのような音声であり、今度は視覚によるVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)が生まれた。これらを総称してXR(クロスリアリティ)と呼ぶ。
フェイスブックも突然社名を「メタ」に変えたように見えるが、VR事業に進出するため、ヘッドセット開発企業オキュラスを買収したのは2014年のことだ。私自身、15年からXR投資を開始した。ところが、残念ながら第1の波が大きくなることはなかった。
当時、「オキュラスリフト」を装着してVR動画を見ると強烈なインパクトを感じたが、それは一部のテックマニアにしか受けなかった。その理由は、最新モデル「オキュラスクエスト2」を使用すればよくわかる。画像は明るく、広く、そして軽くなった。逆に7年前は暗く、狭く、重かった。VR・ARコンテンツはあっても、それを実現するハードウェアの進化が追い付いていなかったわけだ。それでも、16年にはARゲーム「ポケモンGO」が登場し、マイクロソフトがMRデバイス「ホロレンズ」を発売、17年にはアップルが「ARKit」を発表するなどコンテンツやソフトウェアの進化の流れは止まらなかった。
そして昨年末、「オキュラスクエスト2」の累計販売台数は1000万台を突破した(発売は20年10月)。
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