2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月13日

 1月12日付米Diplomat誌にて、Jeffrey W. Hornung米アジア太平洋安全保障研究所准教授は、安倍総理の下で、日印関係は経済連携、シーレーンの協力をはじめ、一層推進されるであろう、と述べています。

 すなわち、安倍総理はかねてより、日印両国は価値観と安全保障上の利害を共有し、インド・太平洋地域で協力する責任があると述べている。

 日印間では、貿易関係の相互依存度が深まっている他、安全保障面では、海軍と海上自衛隊の相互訪問と共同演習、シーレーン防衛とアデン湾での海賊対策、マラッカ海峡隣接諸国の警備隊の訓練などで協力している。

 外交面では、G-20、東アジアサミットなどで協力している他、両国はエネルギーなどの貿易で、航行の自由の確保に多大の関心を有している。また、両国とも、中国に対する懸念を強めており、インド・太平洋地域での覇権拡大に警戒心を抱いている。

 日印間には多くの障害もある。日本の企業にとっては、インドに投資するにあたって、複雑な官僚組織、未熟なインフラ整備、不明瞭な法制度や税制度、政府の腐敗などの諸問題があるが、親印の安倍総理は、日本の企業にもっとインドに投資するよう説得できるかもしれない。

 また、インドがNPT非加盟国であるため、日印の原子力協力は進んでいないが、反原発諸党に勝った安倍総理は、インドとの原子力協力協定の締結を推進することが期待される。インドはすでに米国、ロシア、カナダ、韓国と協定を結んでおり、更に、豪州との交渉が行われている。

 おそらく、日印関係は、安全保障面での協力が、最も進みそうである。日印両国は中国の海洋での行動と航行の自由の問題への懸念を共有している。

 マラッカ海峡からペルシャ湾に至るシーレーンを日印いずれも一国で守ることは出来ず、両国の協力が必要である。両国の協力を妨げるものはなく、協力は予想困難な未来へヘッジする一助となろう。


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