1月27日に行われたホンジュラス新大統領の就任式は、バイデン政権の対中米政策の今後を占う上で注目されていた。
ホンジュラス史上初の女性大統領となるシオマラ・カストロ新大統領は、左派であるだけでなく、かつてベネズエラのチャベスやニカラグアのオルテガと盟友関係にあり、軍部のクーデタで追放され、現在ホンジュラス政界に復帰しているセラヤ元大統領の妻である。従って、どのような性格の左派政権となるのか、特に、移民流出の根本問題に取り組むというバイデン政権に協力的なのかが、米国にとって極めて重要となる。
さらには、カストロは台湾との外交関係を中国に切り替えることを一時は公約としており、当選後は、台湾との関係を当面維持すると態度を変えているが、その成り行きも注目される。
米国を代表して就任式に出席したのはカマラ・ハリス副大統領だ。バイデンから中米対策を任せられているハリスにとっては、昨年のグアテマラ訪問で外交的センスにミソをつけ、ワシントンでも力不足を批判されていることもあり、副大統領としての存在感を示す名誉挽回の機会ともなるものであった。
結果的には、就任式は予定通り執り行われ、ハリスとカストロとの波長も合い、コロナ対策支援や民間投資誘致などの実績も挙げ、移民対策を含めて将来への期待を持たせるものとなったと言えよう。
他の要人としては、台湾副総統、コスタリカ大統領、アルゼンチン副大統領ら現職に加えてルーラら元大統領、チリの次期大統領、スペイン国王らも出席したが、かつての盟友であったベネズエラ、ニカラグア、キューバはいずれも外相または副大統領の出席に留まり、政権としては、「暴政のトロイカ」と称される上記3国とは一線を画す姿勢が窺われた。
台湾としては、ニカラグアが北京に切り替えた分の経済支援のリソースをホンジュラス、あるいはグアテマラにシフトし、移民流出防止にも貢献できるであろう。