バイデンのアメリカ

2022年1月30日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 バイデン政権は、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性が高まったと判断し、その場合の決定的対露制裁措置として、ロシア主要銀行との国際取引停止によって金融界を事実上麻痺状態に陥れ、同国経済全体に直ちに深刻な打撃を与えるプランを立案していることが明らかにされた。

ウクライナでは、民間人も軍事訓練に参加するなど緊張感が高まる(ロイター/アフロ)

 ロシアによるウクライナ侵攻はいよいよ、時間の問題となってきた。

 米欧諸国はこのところ、連日のようにロシア政府側にあらゆる外交チャンネルを通じ、軍事行動を思いとどまるよう説得工作に乗り出しているが、これまでのところ、ロシア側との妥協の糸口が見られず、悲観的見方が広がりつつある。

欧米各国による個別交渉実らず

 ロイド・オースティン国防長官、マーク・ミリー統合参謀本部議長は1月28日、ペンタゴンでの特別ブリーフィングに臨み、「ロシアは今や、10万人以上の部隊を集結させ、ウクライナへの部分侵入どころか、国全体に攻め込む段階に入った」として、ロシアの軍事行動が切迫しているとの悲観的見通しを明らかにした。

 米側の外交努力とは別に、フランスのマクロン大統領もプーチン大統領と直接電話会談を行い、事態鎮静化に向けた諸方策について意見交換したが、双方の隔たりは大きく、ロシア外務省も「わが国を納得させる内容ではなかった」とのコメントを出し、話し合いに進展は見られなかった。

西側諸国との金融取引遮断を模索

 こうした中、29日付けのニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、バイデン政権当局者の話として、ロシアがウクライナへの侵攻に踏み切った場合、米政府は報復措置として、ロシア大手金融機関にかつてない規模の制裁を科し、同国経済を麻痺させる計画を策定中、と報じた。

 具体的には、「SDN」として知られる「いくつもの極限の経済制裁リスト」公表をベースとしており、ロシアの主要銀行による国際取引を事実上、停止させてしまう狙いがある。

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