バイデンのアメリカ

2022年1月24日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 二つの国際危機にバイデン政権は対処できるか――。昨年末以来ワシントンでは、戦略的協力関係を強めつつある中国とロシアによる対台湾、ウクライナ同時侵攻という「最悪シナリオ」めぐり、論議が活発化している。

緊迫が続くウクライナ情勢。ここに台湾有事の同時発生という〝悪夢〟が浮上している(AP/アフロ)

 「専門家筋の間で最近、プーチンがウクライナに侵攻、軌を一にして習近平が台湾統一を目指し武力行使という悪夢のシナリオが話題に上っている。米政府はこうしたシナリオに対処する準備はできているのか?」――昨年12月7日、ホワイトハウスで行われた特別ブリーフィングの中で、さっそく報道陣からこんな質問が発せられた。

 しかし、説明に立ったサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)の答えは、以下のように極めて歯切れの悪いものだった:

 「米国は、そのようなシナリオが現実のものとならないよう、抑止力および外交の両方の観点からあらゆる措置を講じる用意がある。それこそがまさにわれわれの外交目的であり、バイデン大統領がプーチン大統領に伝えてきたメッセージにほかならない」

「軍事的対抗措置」の言及はほとんどない

 緊迫化するウクライナ情勢に関し、バイデン政権はこれまで、もしロシアが侵攻に踏み切った場合の対応について、「同盟諸国とともに断固たる経済制裁をとる」との考えを繰り返し強調すると同時に、外交接触を通じ、ロシア政府側に拙速な行動に出ないよう自制を求めていると繰り返し説明してきた。

 しかし、肝心の「軍事的対抗措置」については、ウクライナに対する追加的武器供与の方針以外、一切言及していない。

 ホワイトハウスのサキ大統領報道官は去る18日の定例会見で、ウクライナ情勢を取り上げ「状況はきわめて危険な段階になっているというのが、われわれの見解であり、ロシアのウクライナ攻撃はいつでもありうる」と語り、改めて危機感を表明した。その上で、ブリンケン国務長官が急遽、ラブロフ露外相とジュネーブで会談後、ウクライナの首都キエフに向かったことに関連し「プーチン大統領とロシア政府にとっての選択は、(侵攻によって)厳しい経済制裁を甘んじて受けるかどうかにかかっている」と強い調子で警告した。

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