バイデンのアメリカ

2021年12月10日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 次期大統領選出馬との関連で、79歳の誕生日を迎えたばかりのバイデン大統領の健康問題に異常なほどの関心が集まっている。その折も折、ホワイトハウスは先月19日、ワシントン近郊の陸軍病院における大腸内視鏡検査を含む徹底的なヘルスチェックの結果、「本人はすこぶる健康、職務遂行に問題なし」と結論付ける極めて念入りな主治医診断書を公表したのだが……。

就任後初の定期健診を受けたバイデン大統領(AP/アフロ)

全文8ページにおよぶ詳細な診断書

 「バイデン大統領の現行健康診断書President Biden’s current health summery」は、ケビン・オコーナー主治医(ジョージワシントン大学医学部准教授)によって作成され、全文8ページからなっている。米政治史上最高齢となった大統領であり、最近の支持率低迷と合わせ、3年後の大統領選出馬決断の重要要因にもなり得るとして、米マスコミは一斉にその内容を大きく報じた。

 一般市民ならけっして表に出されることのない健康診断書は「要約」とはいえ、以下のようにきわめて詳細にわたるものだ。

1.非弁膜症性心房細動関係=「心臓病関係の診断および問診実施。慢性的心房細動あるも、心室拍動数は正常範囲にとどまっており、無症候性。STおよびT波の異常認められず。心エコー図も正常な心筋収縮率を確認。左心房駆出率は55~60%だった。当患者はこれまで、駆出率またはリズム調整のための投薬または電気的治療を必要としてこなかった。(服用中の)血液抗凝固薬アピキサバンについても特に問題なく、安定状態維持」

2.高脂血症関係=「大統領は、脂質異常症治療薬ロスバスタチン投薬により、脂質レベルはとくに低く抑えられている。最近値はHDL(善玉コレステロール)39、LDL(悪玉コレステロール)46であり、CRP(C-反応性タンパク)およびホモシステイン(必須アミノ酸関連の中間生成物)レベルも共に正常」

3.胃食道逆流症関係=「大統領は時として、胃酸の食道への逆流によって起こる食道粘膜の炎症、胸のつかえなどを経験することがあり、そのためにより頻繁に咳払いを余儀なくされることになる。さらには、その関連から咳や鼻づまりを招くことも珍しくなく、これらの症状はとくに食事の直後に多い。症状は特に最近になって頻度が増し、より目立つようになってきたため、私は主治医として、耳鼻咽喉科および胃腸病学専門医の診断も仰いだ。鼻咽喉担当医が鼻から入れたビデオスコープ鼻喉頭鏡で検査した結果、腫瘍、ポリープなどは認められなかった。声帯にも異常見られず。しかし、胃酸逆流との関連で気管、食道、咽頭上皮に異変を確認。肺、酸素飽和度、胸部画像いずれも極めて正常。さらに19種の呼吸器系病原についてのPCR検査も実施したが、大統領はそのいずれについても結果は陰性だった。なお、咳払い、咳を引き起こす逆流症状に関しては、胃酸分泌を抑制するファモチジンを現在、服用中であり、それ以上の処置は特に必要なし」

4.季節性アレルギー症関係=「耳鼻咽喉担当医による検査および問診実施。当患者は永年にわたり、季節性アレルギー、鼻づまりなどの症状に対処してきた。そのうちのいくつかについては、何回かにわたる鼻中隔矯正手術などにより改善してきたが、今日も鼻づまりスプレー『fulticasone/azelastine』および市販のフェクソフェナジン錠剤を必要に応じ使用」

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