バイデンのアメリカ

2021年11月25日

»著者プロフィール
著者
閉じる

斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 トランプ前政権以来、深刻化した米国社会の分断が、バイデン政権下の政策運営に大きな障害として立ちはだかっている。このまま期待通りの成果が挙げられず、支持率低迷が続けば、2024年大統領選でも命取りとなりかねない。

(zimmytws/gettyimages)

「超党派」とは名ばかりだった式典

 「本日、私がこの場で署名し正式発効する法律は、民主、共和両党議員たちによる努力と妥協の産物だ」

 バイデン大統領は去る11月15日、ホワイトハウス南庭で行われた1兆2000億㌦規模の大型「超党派インフラ・パッケージ法(bipartisan infrastructure package=BIF)」成立祝賀セレモニーでその歴史的意義を強調して見せた。

 だが、「超党派」とは名ばかりで、式典会場は、大統領ほか関係閣僚、議会からナンシー・ペロシ下院議長、チャック・シューマー上院院内総務ら民主党重鎮らで埋め尽くしたものの、野党共和党側出席者は、シェリー・カピト、ロブ・ポートマン両上院議員、ドン・ヤング下院議員ほか数人にとどまった。法案に支持投票した上下両院合わせ22人の共和党議員のほとんどが最後まで会場に姿を見せずじまいだった。それぞれ「多忙」「先約あり」が表向きの理由とされた。

 ところが、これには裏があった。ワシントン・ポスト紙の報道によると、実はホワイトハウス式典を前に、同法案に支持投票した共和党議員たちに対し、「民主党に手を貸すとは何事か」「まさにRINOの典型だ」と言った激しい非難、中傷が浴びせられ、出身選挙区からも式典出席を拒否するよう圧力がかかっていたという。

「RINO」とは何か

 「RINO」とは「Republican in name only」の略語で「名ばかりの共和党員」を意味する蔑称。20世紀初頭から、民主党の主張に同調する共和党議員や判事たちを揶揄するのにしばしば使われてきたが、特に最近では、トランプ政権下、トランプ大統領自身もツイッターなどを通じ、自分の打ち出す政策に異議をさしはさむ同党議員たちの口封じに乱発してきたことで知られる。

 今回の「BIF」法案採決の際も、支持に回った共和党議員たちは「RINO」呼ばわりされた上、事務所や自宅にまで殺害、放火などを示唆する脅迫メール、電話までかかってきたと言われ、その大半が熱狂的トランプ支持者からだった。トランプ氏自身も一部メディア通じ、「民主党に手を貸したRINOたちはその恥を知るべきだ」などと酷評していた。

関連記事

新着記事

»もっと見る