バイデンのアメリカ

2021年11月25日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 さらに主張の相違は政党から個人レベルにまで広がっている。象徴的なケースとして、独身の民主党支持者を対象とした意識調査では、71%が「2016年大統領選でトランプに投票した相手とは結婚しない」と回答していたことがわかったという。逆にヒラリー・クリントン民主党候補に投票した相手との交際に否定的な共和党支持者は47%にとどまっており、トランプ・ファクターが市民生活にまで大きな亀裂をもたらしたことを裏付けている。

世界最悪を引き起こしているコロナ対策

 社会分断の深刻さは、コロナ危機でも露呈した。

 全米のトランプ支持層の多くは、当初から、マスク着用、外出自粛、ワクチン接種などの感染対策には非協力的な姿勢をとり続けてきたことで知られる。トランプ氏本人も在任中、感染判明後、緊急入院を余儀なくされたものの、退院したその日、ホワイトハウスのバルコニーから、それまで着けていたマスクを報道陣の前で投げ捨てるなどして波紋を広げたことがあった。

 その結果が、米国のこれまでのコロナ感染者総数約4700万人、死者約77万人という世界最悪事態にほかならない。人口比3分の1の日本が、感染者総数約172万人、死者約1万8000人(いずれも11月20日現在)にとどまっているのと比較してもけた違いの甚大被害だ。

 バイデン・ホワイトハウスは、コロナ感染「第5波」襲来に備え、すでに政府機関のみならず、民間企業に対し、従業員のワクチン接種と抗体検査実施を義務付ける行政命令を発令済みだ。しかし、これにはトランプ支持層を中心とする共和党系市民団体が「違憲」訴訟を起こしており、共和党系判事が多数を占める南部ルイジアナ州ニューオルリンズの巡回控訴裁では、早くも「差し止め命令」が出された。

 「個人の自由侵害」を理由としたトランプ支持層の抵抗は、さらに各地に広がる動きを見せており、今後、政府の感染拡大予防措置がどこまで徹底できるか、不透明な状況が続くことになりそうだ。

  
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