バイデンのアメリカ

2021年11月10日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 中間選挙まで1年を切った米国のバイデン民主党政権が、内外政策での実績づくりに躍起となっている。自ら得意とする外交面では、世界を混乱に陥れたトランプ前政権との違いを浮き彫りにし、アメリカの威信回復ぶりをアピールすべく焦りさえあらわにしている。

(AP/アフロ)

 「各国首脳との対面でのきわめて生産的な会談を通じ、アメリカン・パワーの真骨頂がいかんなく発揮された」――。バイデン大統領は先月末、ローマで開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)終了後の記者会見でこう胸を張って見せた。

 しかし、今年1月の政権発足から最近に至るまでの外交姿勢は、順風満帆とは程遠く、波乱含みのものだった。

拙速だったアフガン撤退とAUKUS

 際立ったのが、唐突なアフガニスタンからの米軍完全撤収、米英豪3カ国安保協力の枠組み「オーカス(AUKUS)」創設の二つだ。

 まず、アフガン撤収(7~8月)については、ひと月前の6月11~13日、英国・コーンウォールでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)に臨んだバイデン大統領は、英仏独伊など各国首脳と親しく会談したものの、席上ではアフガンからの火急の米軍完全撤収方針は何ら示されなかった。その直後の急展開だったため、欧州諸国に大きな波紋と衝撃を広げる結果となった。

 このこと自体、大統領が国務、国防両長官ら関係閣僚たちの慎重論を押し切ってまで強行したドタバタ撤退だったことを裏付けている。トランプ前大統領が退任前、国民向けに「4月30日までに撤退完了」の意向を表明していた手前、対面上も急がざるを得なかった。

 「オーカス」合意は去る9月15日、3カ国首脳によるビデオ合同記者会見で発表され、その場でバイデン大統領の口から、オーストラリアへの原子力潜水艦売却計画が初めて明らかにされた。ところが、フランスにとっては、これまでオーストラリアとの間で通常型潜水艦共同開発計画の協議を進めてきていただけに、まさに「寝耳に水」だった。ホワイトハウス関係者によると、この米側方針は、サリバン大統領補佐官から駐米フランス大使への電話で初めて伝えられたが、バイデン氏がテレビで発表するのとほぼ同時のタイミングだったという。

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