2022年12月4日(日)

バイデンのアメリカ

2022年1月30日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

欧州諸国から制裁反対の懸念も

 ビンドマン少佐は、実際に、ロシアが全面侵攻に出た場合、米欧諸国による対露反応は、「前例のない厳しいものになり、ロシアが被るダメージは計り知れない」として、具体例として、米議会ですでに、ロバート・メネンデス上院外交委員長が、ウクライナに対する大規模軍事テコ入れを可能とするための「特別軍事調達基金」法案を準備していることにも触れている。この「メネンデス法案」には、バイデン大統領、民主党要人のみならず、野党共和党有力議員の間でも支持する声が高まっているという。

 他方で、懸念されるのが、こうした米側の対露措置に対し、欧州諸国がどこまで歩調を合わせられるかだ。

 ドイツなどのように、ロシアからの天然ガス供給に自国エネルギーの大半を依存する国にとっては、出方次第では、ロシアが〝懲罰措置〟として供給をストップする可能性もすでに指摘されており、これまでのところ、ドイツ政府当局も、米国主導による対露制裁に冷淡な反応しか見せていない。

 また、金融制裁措置に関しても、欧州連合(EU)諸国の中には、「SWIFTコード」サービス停止によって自国の金融機関にも影響が及ぶとして、反対の声が挙がっている。

 バイデン政権としては、トランプ前政権時代に深刻な亀裂が生じた米欧関係の再構築に取り組んでいる時だけに、今また、ウクライナ問題めぐり、再び関係悪化の事態を招くことはできるだけ避けたいのが本音だろう。

 最終的には、こうした米欧諸国間の動きとそれにともなうさまざまリスクを、プーチン大統領がどう読み取り、いつの時点で次の一手を打ち出すかにかかっている。

 なお、ウクライナ侵攻により、上記のようなバイデン政権の対露金融制裁が発動された場合、ロシアとも取引のあるわが国の銀行、商社などにもさまざまな影響が及ぶことも避けられない。その意味で、今後の米欧の対応をとくに注視していく必要がある。

  
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