2021年12月30日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)社説は、バイデン政権の1年目は失望だ、民主党の進歩派は世論のムードを見誤っていると同党進歩派を批判している。
民主党内進歩派の先鋭な主張や政治スタイルは当初から心配されてきた。そのため、バイデンが中道を中心に支持基盤を拡大することの重要性は大統領選挙時からつとに強調されてきた。今の状況は驚きではない。
FTの社説は、①バイデン政権1年目は期待に反し失望である、 ②支持率低下、党内分裂、より良い再建法案の議会承認の行き詰まりで苦戦している、党内進歩派が中道勢力を疎外することになっているなどと指摘する。民主党は全ての中間層の党であるとの党のブランドに返るべきだとの社説の警告は、直截で、重要である。
バイデンの支持率は43.1%、不支持は53.3%と政権発足以来最低だ(リアル・クリア・ポリティックスの12月末日での各種世論調査の平均値)。何故それ程に悪いのか理解し難い面もあるが、コロナ感染再拡大とインフレ懸念がじわじわと影響しているのだろう(11月の消費者物価は前年同月比で+6.8%)。年初来民主党の大規模すぎる経済対策のインフレ・リスクを警告、民主党左派から敵視されてきた中道派のサマーズ元財務長官が正しかったということかもしれない。
バイデンは、早期に「より良い再建法案」(下院より上院に送付済) につき党内左右の間で今一度ギリギリの妥協を図り、必要な修正を加えて成立させることが不可欠である。左派を抑え、マンチン上院議員に妥協することも止むを得ない。
11月8日の中間選挙に向けて、経済が最大の問題になりつつある。中間選挙では政権党が負けると言われており、仮に民主党が上下両院で多数を失うことになれば、政策実行が不可能になり、米国や世界にとり由々しいことになる。
今民主党内はどうなっているのか、12月30日付ワシントン・ポスト紙(WP)が興味深い記事を掲載している(「左派のマンチンへの怒りが2022年民主党のジレ ンマを浮き上がらせる」)。