2022年7月2日(土)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年3月7日

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鈴木智彦 (ともひこ・すずき)

フリーライター

1966年北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』(小学館文庫)など。

観光客は産地を聞いてこない

 だが函館を訪れた観光客は漁港の水揚げの動向など斟酌しない。誰もがイカやカニ、ウニやイクラ、サーモンやマグロを食べたがる。駅近くの繁華街に居酒屋があり、軒先にメニューが張り出されていた。真イカ(スルメイカの俗称)刺身は1990円で、もはや高級魚だ。こうして値段を明記している店は良心的である。イカは冷凍しても味の劣化が少ない。中国やロシア、米国から輸入される冷凍イカを出しても、ほとんどの客は分からない。

 誰もが函館で食べる海産物は地元で獲れた魚と思い込む。が、昨年9月下旬、北海道を襲った赤潮は大量のウニやサケを死滅させ、漁業被害は総額80億円に達した。知り合いの店に訊くとサーモンはノルウェー産、ウニはロシア産、イクラも輸入の鱒の子という。訊かれれば正直に答えるつもりらしいが、観光客は誰一人質問しないという。

 もちろん函館にも愚直に魚を仕入れ、売り続けるまっとうな鮮魚店は数多くある。地元客をメインにした生活密着型の商店街ではすべての客がリピーターだ。

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Wedge 2022年3月号より
魚も漁師も消えゆく日本
魚も漁師も消えゆく日本

四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか

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