2024年5月1日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月4日

 米国がインドのAPEC加盟を後押しすれば、二国間の安全保障関係も、さらに発展することになろう。インドには、米国の意図に不信感があるが、それは、米国によるインドのためのイニシアティブがもう一つあれば緩和されうる。

 インドのAPEC加盟支持は、米国にとっては地政学的価値が大きく、よりオープンで関与を強めたインドから得られる経済的報酬の可能性は、APECにとっては、最小限のリスクを冒す価値があるものである。

 米国は、少なくとも2017年までに、インドがAPECの完全なメンバー国になることを主張すべきである、と述べています。

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 論説は、インドのAPEC加入を、長期的経済利益から説き起こしていますが、ローマンらの真意が、インドの地政学的な価値にあることは、想像に難くありません。

 たしかに、インドの地政学的重要性が増し、今後も増し続けるであろうと予測される現在、インドの占めるべき地位は再考されるべきでしょう。

 世界経済は、米国を中心として、米州・NAFTA地域、APEC地域、EU地域に大別することが可能ですが、インドはIOR-ARC(Indian Ocean Rim-Association for Regional Cooperation、インド洋地域協力会議)に拠って独立ないし孤立しています。増大するインドの重要性を考えれば、アジア・太平洋グループに統合することを改めて考えても良いと思われます。

 さらに、APECは台湾が正式メンバーである稀な国際機構です。そうした点も考えれば、インドの招聘によってAPECが強化されることになれば、地域の安定のために望ましいことです。日本としても支持すべき動きと言うべきでしょう。

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