2022年12月4日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月14日

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 2020年の「アブラハム合意」(イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコとの関係正常化)に端を発する、イスラエルとアラブ諸国との関係改善は、急速に進展しているようである。イランによる核、弾道ミサイルの開発、代理者を通じた地域における影響力拡大などが共通の脅威となっていることが背景にある。双方にとりイランは生存にかかわる脅威と言ってよい。

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 こうした中、イスラエルでは6月20日にベネット前首相はクネセット(議会)の解散を表明、6月30日にクネセットは解散を決定した。ベネットは首相を退き、連立のパートナーだったラピド外相が選挙管理内閣の首相に就いた。

 ベネット前政権は、右派からアラブ系政党にいたる8党が、ネタニヤフ元首相を追放すること一点のみにおいて一致してできた連立政権で、その基盤は全く脆弱なものだった。今後イスラエルの内政は混乱することが予想される。しかし、イスラエルの政変がイスラエルとアラブ諸国との関係改善に与える影響は、あまりないと見られる。

 イスラエルは、イランの科学者らへの暗殺を繰り返している。核、ミサイル、ドローンなどの開発にかかわる重要な人物がターゲットになっている。それにより、これらのプログラムを遅らせ、もってイスラエルの安全に資するという狙いである。

 ラピド暫定首相もこういったやりかたを継続すると思われる。当然、イランとの緊張はますます高まることになる。イランによる報復がエスカレートする可能性も排除できない。

 よりマクロな動きとしては、「中東防空同盟」がある。ベネットが解散を表明した6月20日にガンツ国防相は、「中東防空同盟」を米国主導で構築し既に運用していると、クネセットの外交・国防委員会に対して説明した。

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