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2022年7月8日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

トラック、バスで導入が進む

 さらに水素の積極的な導入が始まっているのは大型トラック、バスなどの交通機関。サンフランシスコ周辺では燃料電池バスが導入され、大型輸送トラック、ディーゼル機関車に置き換わる鉄道の利用が徐々に始まっている。EVとの違いは充電時間が節約できること、よりパワーが得られることなどだ。乗用車に関してはEVが圧倒的に優勢ではあるが、大型トラックやバスに対応する高出力充電設備はまだ十分とは言えず、燃料電池への期待が高まっている。

燃料電池トラック
 

 また水素の生成と利用を一箇所に集めた水素ハブ計画も、政府主導で始まっている。パイプラインを長距離で行き渡らせるのがまだ難しい中、作った水素を現地で工場などで利用する、という考え方だ。全米に4−8カ所の水素ハブを設置し、工業向けの電力源や熱源として水素を利用する。この計画に米エネルギー省は最大80億ドルを投じるという。

 EV500万台時代が到来すれば、電力需要は逼迫する。バイデン政権は「50マイル(約80キロ)ごとに1カ所のEV用チャージステーション建設」という青写真を発表しており、そうなるとかなりの電力が必要となる。

 再エネが年間に9%程度の上昇を見せてはいる米国だが、それでも増え続ける需要をまかない切るのは難しい。それを補完する存在として、今最も有力な候補が水素なのだ。再エネで余った電力の貯蔵についても、水素に変換することで大型かつ長期の保存が可能となる。

 カリフォルニア州水素ビジネス評議会では本格的な水素社会の到来は10年後、としているが、今からそれに備えたイノベーションやインフラの設備投資が必要である、と主張している。そのためには政府による税制優遇その他のインセンティブも必要となる。しかし脱炭素、脱化石燃料を本格的に進めるためのオプションとしての水素の重要性は今後増していくことになるだろう。

  
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