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世界の記述

2022年7月9日

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宮下洋一 (みやした・よういち)

ジャーナリスト

在欧ジャーナリスト。1976年生まれ。スペイン・バルセロナ大学大学院でジャーナリズム修士。『卵子探しています』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『安楽死を遂げるまで』(同)で講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ・外国人ぎらい』(PHP新書)がある。
 

 また、スペインの民放「ラ・セクスタ」は、ニュース番組直後の調査番組「ラ・セクスタ・クラべ」で、容疑者が使用した武器について解説。その後、人口100人あたりの日本の武器所持率を米国のそれと比較。日本は0.25人であるのに対し、米国は120人というデータをスタジオの大画面スクリーンで紹介した。

ラ・セクスタ・クラベは、日本とアメリカの武器所持率を解説している(YOICHI MIYASHITA)

早かったティックトック

 視聴率27.5%を誇るフランスの民放「TF1」のプライムタイムニュースは、南仏で起きている山火事被害をトップで扱い、番組中盤に安倍元首相のニュースを報じた。容疑者の男性については、「動機が極端に狂っている。安倍氏に対する憎悪はなかった」などと説明し、「日本は、武器に対する規制がとりわけ厳しい」との情報も付け足した。

 中でも、フランスのニュース専門番組「フランスアンフォ」に登場したジャーナリストのフロランス・トマゾ氏の解説は、日本の現状を的確に分析していた。

「銃器は、この島国ではほぼ出回っておらず、銃による死者は、年間10人以下に留まる。日本は至って平和な国で、暴力で訴えることはなく、暴力を使う者たちは弾圧される。重大殺人事件の犯人は、時には死刑を言い渡され、昨年12月には3人が処刑されている。また、2007年に長崎で起きた市長射殺事件でも、犯人は無期懲役になったが、日本でこのような事件は極めて珍しい」

 既存のメディア以外にも、情報はソーシャルメディア(SNS)でも流れていた。ツイッターやインスタグラムを始め、ショート動画アプリ「ティックトック」でも、安倍元首相が襲撃されるシーンをすばやくアップする外国人ユーザーたちがいた。

 韓国、タイ、ベトナム、メキシコなど、複数の国のユーザーたちが、彼らの母国語を使い、独自解説を行う動画も多く視聴されていた。特に、襲撃の映像流出は、ティックトックが早かった。

世界の首脳が発信した追悼の言葉

 襲撃の直後、海外の首脳も、迅速な対応を見せた。

 米国のバイデン大統領は、事件の報告を受け、ワシントンの日本大使公邸に足を運んだ。「唖然とし、怒っている」「深く悲しんでいる。暴力は容認できない」との声明を発表している。

 ドイツのショルツ首相は、「衝撃と深い悲しみを感じている」とツイッターに投稿。同国のメルケル前首相は、「長年の付き合いだった同僚のシンゾウ・アベが酷い攻撃を受けたニュースを知り、震えた」と綴っている。

 フランスのマクロン大統領は、安倍氏の死亡が確認される前の段階で、「シンゾウ・アベが犠牲となった憎き攻撃に深い衝撃を受けている」、「フランスは日本国民とともにいる」と同じくツイッター上で追悼の意を表した。

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