2024年5月3日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月22日

 対外政策では、南シナ海での紛争解決のために海洋法のもとでの多数国間交渉に応じ、日本とは紛争の島について交渉し、北朝鮮やイランには核計画をやめるように圧力をかけ、対外援助、軍事予算を透明にし、発展途上国の資源開発に関するセンシティビティを尊重すべきである。

 そういう措置こそ、対外宣伝活動に今使っている数十億ドルより有効だろう、と論じています。

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 このシャンボウの論説は、中国の対外イメージが悪化していることを指摘したうえで、その改善のためには対外宣伝活動に巨費を投ずるよりも中国の実体的な政策を変えることが有効であるとして、中国に政策の変更を勧めたものです。

 しかしシャンボウのいう政策変更は、中国としては出来ないし、しないでしょう。

 南シナ海問題で、多数国間協議ではなく各国との二国間の協議で解決すべし、というのは中国の基本姿勢です。また、現状で市民的・政治的権利についての人権規約を批准したりするとは思えません。中国の政策が変わってイランや北朝鮮に核開発をやめさせる圧力を加えるなどといったことも、想定しがたいことです。

 中国の基本的な政策に問題があるので、その結果としてイメージが悪くなっているのです。自業自得としかいいようがありません。基本的な政策は変えようもないので、対外イメージを少しでも改善するために対外プロパガンダにお金を使っているのが実情でしょう。

 また、中国は、他国の目をあまり気にせずに、国内の力学で政策を決めている傾向が強いように思われます。中国が対外イメージを気にして政策変更に踏み出す可能性は、大きくないと見られます。

 習近平の中華民族の復興や「中国の夢」のようなスローガンは、国内向けには良いにしても対外的にはアピール力はありません。毛沢東の頃には、中国には平等主義、途上国の代表など対外アピール力はありましたが、今では中国シンパは少なくなっています。これは今後も変わらないように思われます。

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