2024年11月22日(金)

社食に企業の想いあり

2013年4月18日

 食事スペースを少し歩くと気づくのが、フロアの広さと人の多さに比べて騒音を感じないこと。向かい合う人の声に耳を傾けていても、周囲の声や雑音が気にならない。席で同僚と待合せをしていた経営企画統括本部の山本いづみさんは、「スペースを広くとっているので、居心地がいいですね」。騒音がないことを聞くと、「確か、そういう設計上の工夫がされているはずです」と話してくれた。

 髙山部長に聞くと、社員食堂だけではなくビルの全体(トイレを除く)に「サウンドマスキング」システムを導入しているのだという。これは天井や床の下にスピーカーを入れ、「暗騒音(あんそうおん)」と呼ばれる音を流すことで音漏れや雑音を最小限に抑えるもの。快適なスペースになることはもちろん、会議内容を漏らさないなどセキュリティ面での備えでもある。

 「フリーアドレス制を取り入れていることもあり、いつも同じ場所で同じ人達と働くという会社ではありません。だからフェイストゥフェイスで話せる場所は貴重です。コミュニケーションを効率よく取れるようになったという話はよく耳にしますね」(コーポレートコミュニケーション本部・村松智恵さん)という話に、とても説得力を感じる。

社食の質を底上げする
委託スタッフとの信頼関係

 食事をいただいたのは、フロアの一角にある和風の個室スペース。個室スペースは、板戸で仕切られ、つなげれば通し間でも使える居酒屋風掘りごたつの和室が4室と、洋室が2室ある。それぞれの部屋の名前は社員からの公募で決まっており、和室の4室は「春・夏・秋・冬」、洋室2室は、「プラネット」と、「ムーン」と命名されている。筆者はこの日のスペシャルメニューだった「スリランカチキンカリー ライス&ナン ヨーグルト付」(700円)、同行の編集者は「鶏肉の柚子香味噌焼きセット」(578円)を頼んだ。メニューは単品で300~500円程度、別途料金で味噌汁やご飯、小鉢をつけることができる。

スリランカ人シェフが作った「スリランカチキンカリー」

 「スリランカチキンカリー」のライスとナンは、女性にはちょうどいい分量。若い男性にはやや少なめかもしれないが、ライスの大盛りも選択できるし、小鉢やパンなどサイドメニューも充実しているので、そこで補えばいい。カレーは香辛料が効いていて、街中のアジア系カレー店で出されても遜色のない本格的な味。同社は社食業務をエームサービスに委託しており、この日のカレーは、エームサービスの社員であるスリランカ人シェフが各地の社食をまわって作っているものだという。


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