2022年8月19日(金)

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2022年8月5日

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アメリカ政府は4日、サル痘のアウトブレイクについて、米全土に公衆衛生の緊急事態を発令した。これにより、ワクチンや治療薬、連邦政府からの物資供給を加速させ、感染拡大を抑える。

世界保健機関(WHO)は7月23日に、各地でサル痘の感染が広がっていることを受け、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと宣言した。

保健当局によると、アメリカではこれまでに6600人以上が感染している。

症例の約25%はニューヨーク州に集中。同州は先週、独自に緊急事態宣言を発令していた。次いで感染者の多いカリフォルニア州とイリノイ州も、今週に入って緊急事態を宣言した。

米疾病対策センター(CDC)によると、サル痘は今年に入り、全世界で2万6000件以上の感染が確認されている。

一方、公衆衛生の専門家の間には、緊急事態宣言により、感染者への風当たりが強くなると懸念する声もある。誰でもサル痘に感染する可能性があるが、今回のアウトブレイクでは男性と性的交渉を持った男性に感染が集中している。

しかし、サル痘は純粋な性感染症ではなく、患者との濃厚接触からでも感染する可能性があるという。

サル痘に感染すると非常に痛くてかゆい発疹が現れ、全身に広がる。そのほか、発熱や頭痛といった症状も確認される。

天然痘と似ているが、通常は症状は軽く、成人は治療や入院せずに回復する。しかしWHOは、感染拡大により幼い子供の死亡例が出ていると警告している。

保健当局はすでに、サル痘ウイルスにさらされるリスクが最も高い人に、ワクチン接種を勧めている。一部の同性愛やバイセクシュアルの男性、医療従事者などが含まれる。

こうした中、アメリカではサル痘のワクチンが不足しているとの報道も出ている。

米保健福祉省は先週、500万回分以上のワクチンを追加発注したと説明。来年5月までに供給されると述べた。

また今週初めには、ホワイトハウスが全国のサル痘対策についての連携・監視室を設置したと発表。こ国内でHIVウイルスの感染予防イニシアチブを成功させた、デミトリ・ダスカラキス氏などが参加している。


<解説>サンフランシスコは「非常に恐ろしい状態」 ――ジェイムズ・クレイトン北米テクノロジー記者

このところジョー・バイデン大統領には、サル痘の感染拡大について対策を取るべきだという重圧がかかっていた。

公衆衛生当局は、感染は特に、男性と性交渉を持った男性の間で広がっていると指摘している。

サンフランシスコなど性的マイノリティー(LGBT)の人が多く住む都市では、LGBTコミュニティーを守る対策が十分に取られていないと、政治家らが声を上げている。

新型コロナウイルスの出現時とは違い、サル痘のワクチンはすでに開発されている。しかし、ワクチン接種を受けようとした人の多くが長い列に長時間並んだ挙句、品切れだと言われている。

バイデン大統領はもっと早くアメリカ全土への緊急事態を宣言すべきだったのでないか、そうすれば感染の広がりを防げたのではないかと、批判的な声も出ている。

サンフランシスコは1日に公衆衛生の緊急事態宣言を発令した。発令に際し、ロンドン・ブリード市長は1980年代のHIVウイルス危機を思い起こさせ、当時、市は危機を無視ししていたと指摘。

「とても怖い状態だ」と述べた。


(英語記事 US declares monkeypox a public health emergency

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62431505

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