「若さのはかなさ」を感じさせるばかりではなく…
そのなかで、アイドル・小泉今日子は笑顔を隠した、奇妙な母親役を演じて、観る者を飽きさせない。歌手でデビューした彼女の女優としての可能性を見せたのが映画「快盗ルビイ」(1988年・和田誠監督)である。作家の小林信彦が、アイドル映画の最高傑作としてあげる作品である。スタイリスト役の小泉が、実は快盗で、相手役の隣人の真田広之を相棒に誘い込んで盗みを企てる。
イラストレーターとしての卓越した才能のほかにも、宮藤同様に多彩な活躍で知られる和田誠が、監督として小泉の魅力を引き出した。
「あまちゃん」の小泉は、糸井のいうように「若さのはかなさ」を感じさせるばかりではなく、アイドルが成熟して、日本を代表する女優としての存在感を示している。
アイドルが演技派女優に生まれ変わる。ファンの喜びである。
「あまちゃん」の物語の設定は、2008年夏から始まる。三陸の青い海の風景をあしらいながら、陽気なテーマ曲で毎回開幕するドラマは、東日本大震災の2011年春に向かっていくのであろう。 (敬称略)
1ページ目「高校卒業後に東京に去った春子」は、「高校生のときに東京に去った春子」の間違いでした。お詫びして訂正致します。(2013/04/25 22:22)
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