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BBC News

2022年9月13日

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70年というイギリス史上最も長く在位した女王エリザベス2世は、イギリス人の生活に欠かせない一部となっている。釣り銭からシリアルの箱にいたるまで、女王の肖像画や横顔、紋章が刻まれており、それを見るのが当たり前になっていた。

新国王チャールズ3世の即位で、どう変わるのだろうか?

硬貨と紙幣

イギリスで流通している290億枚の硬貨すべてに、エリザベス女王の横顔が刻まれている。最も新しいデザインは2015年、女王が88歳の時のものだ。生前、硬貨に刻まれた女王の顔は5回、変更されている。

英王立造幣局は、いつ、どのようにチャールズ国王が刻まれた硬貨を発行するか、明らかにしていない。しかし、女王の硬貨は今後も流通し続け、徐々に新しいものに代わっていくとみられている。

イギリスのすべての硬貨が10進法に統一された1971年以前には、釣銭にさまざまな君主が混ざっているのが普通だった。

チャールズ国王の硬貨デザインはまだ分からないが、2018年に70歳の誕生日記念に発行された硬貨からその片鱗をうかがうことができる。また、一つだけ確かなのは、国王の横顔は女王とは反対向きの左向きになるということだ。イギリスでは伝統的に、硬貨に刻む君主の横顔は左右交互と決まっている。

硬貨の鋳造は政府の承認後、ウェールズにある造幣局で始まる。

女王の肖像画は1960年以降にイングランド銀行が発行した、全ての紙幣に印刷されてきた(スコットランドと北アイルランド発行の紙幣に女王の肖像画はない)。

イングランド銀行は約45億枚、総額800億ポンド相当の紙幣を発行しており、硬貨と同様、徐々に新国王のものに代わっていくとみられる。

全ての硬貨と紙幣は法定貨幣としての流通が続く。これについて変更がある場合は、イングランド銀行から発表がある

切手と郵便ポスト

イギリスでは1967年以降、郵便事業を運営するロイヤル・メイル発行の全ての切手に、エリザベス女王の横顔のシルエットが浮き彫りになっている。

ロイヤル・メイルは間もなく、エリザベス女王の切手の発行を停止し、新デザイン切手の発行手続きを始める予定。ただし、これまでに発行された切手は引き続き利用できる。

チャールズ国王は2018年、やはり70歳の誕生日のタイミングで記念切手が発行されている。しかし国王としての切手がどのようなものになるかは発表されていない。

ロイヤル・メイルは切手だけでなく、郵便ポストにも女王の組み合わせ文字を施している。

イギリス国内の11万5000基の郵便ポストの60%以上が、女王を表す「EIIR」を付けている。「E」はエリザベスを、「II」は2世を、Rは女王を意味するラテン語「Regina」から来ている。

スコットランドの郵便ポストにはは、スコットランド王冠が施されている。

スコットランド以外の国では今後、新しい郵便ポストにはチャールズ国王の組み合わせ文字が付けられることになる。しかし、郵便ポストの新規設置はそう多くはないため、見つけるまでには時間がかかるだろう。

「女王陛下御用達」はどうなるか

トマトケチャップからシリアル、香水まで、イギリスではあらゆる日用品で王家の紋章と「by appointment to Her Majesty the Queen (女王陛下御用達)」という文字を見かけることがある。

これらはロイヤル・ワラント(王室御用達)を受けた製品で、王室に定期的に供給されているものだ。

イギリスではここ100年ほどの間に、君主やその伴侶、王位継承者が独自のロイヤル・ワラントを発行してきた。現在では約800社に対し900件のロイヤル・ワラントが発行されているという。

発行者が亡くなると、その人物からのロイヤル・ワラントは無効となり、企業は2年以内に王室の紋章の使用をやめなくてはならない。ただし例外として、エリザベス女王の母エリザベス皇太后が亡くなった際には、そのロイヤル・ワラントは5年間、維持された。

ロイヤル・ワラントは肩書ではなく一家単位のものなので、チャールズ国王が皇太子時代に発行したロイヤル・ワラントはそのまま継続となる。

また、皇太子となったウェールズ公ウィリアム王子に、国王はロイヤル・ワラントの発行権を付与するだろうと予想されている。

パスポートはなお有効

更新が必要なのは貨幣や切手、ロイヤル・ワラントだけではない。

全てのイギリスのパスポートには、「女王陛下」の文言が入っている。このパスポートは有効だが、今後発行されるものではこの部分が「国王陛下」に変わることになる。

イングランドとウェールズの一部の警察組織では、ヘルメットに「EIIR」が刻まれているため、これも更新が必要だ。

法廷弁護士の一部を占める勅撰弁護士も、これまでは「クイーンズ・カウンシル」と呼ばれていたが、女王の死去を受けてすでに「キングス・カウンシル」となっている。

そして最後に、イギリス国歌が「神よ女王を救いたまえ(God save the Queen)」から変更された。

10日にチャールズ国王の即位が正式に布告された際には、「国王陛下のため万歳三唱」のほか、「神よ国王を救いたまえ(God save the King)」が唱えられ、軍楽隊が国歌を演奏した。

(英語記事 What will happen to stamps, coins, banknotes and passports?

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62888553

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