「ロシアとアメリカはシリアやイラン、北朝鮮の問題で真剣な業務に一緒に取り組んでいる。我々はこの問題を解決する必要がある。スパイ活動などという陳腐な事件から来る政治的ヒストリーに時間を浪費するひまはないんだ」
そして不思議なのは、対米関係を刺激するような出来事が起こると、いつも扇動的な立ち振る舞いをする自民党のジリノフスキー党首や、ロゴジン副首相が何のコメントも発していないことが、アメリカへの配慮を引き立たせるものとなった。
フォグル事件は、自らがFSBの前身機関のKGBエージェントだったプーチン大統領にもすぐに報告された。こうした歯止めは、シリアやイラン問題だけでなく、ロシアではG20やG8などの国際会議、そして、ソチ冬季五輪やユニバーシアード競技大会などのスポーツイベントの自国開催を控え、“大人の対応”を決めたプーチン大統領の思惑が絡んでいることは間違いないように思える。
結局、フォグルはいつロシアから国外退去になったかもわからぬまま、ロシア国内でも、政権支配が顕著なメディアの報道は、一気に萎えた。
突如として発覚したモスクワエスピオナージが今後の米露関係にどのような影響を与えるかは予断を許さないが、冷戦時代のスパイ合戦とは大きく趣を違えていることは間違いない。
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