2022年11月28日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年10月24日

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 10月5日付英フィナンシャル・タイムス紙(FT)は、「習近平の3期目継続は悲劇的な間違い」とのマーティン・ウルフによる論説を掲載し、習近平が3期目に入ることにより、国内的には現在の諸問題を解決できず硬直化を招き、対外的にはより大きな摩擦を起こすリスクがあると論じている。

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 習近平は3期目を迎えるが、これは中国と世界にとり危険だ。国内では硬直化、海外ではより大きな摩擦を起こすリスクがある。10年で十分だ。第一級の指導者も長い間に劣化する。鄧小平は任期制限を導入したが、習はそれを廃止する。

 民主主義も常に賢明な指導者を選ぶ訳では無く、しばしば正反対の者を選ぶ。しかし、そのような指導者に反対しても危険は無く、流血無く解任も出来る。しかし個人による専制政治ではどちらも不可能だ。

 習近平の次の10年はこれまでより悪くなると見るのが現実的だ。では、これまでの10年はどうだったのか。

 ミンシン・ペイによれば、習は個人的支配、レーニン主義的党支配体制の復活、中国の世界的影響力拡大という 3 つの主要目標を持っている。最初の目標は大成功を収め、第二は公式には成功し、第三は評価が分かれている。今や中国は超大国と見られているが、同時に中国を懸念する反対勢力の集団ができている。

 マクロ経済の根本的問題は、過剰貯蓄とそれに付随する過剰投資で、その結果としての膨大な非生産的債務の拡大だ。この3つは同時に発生するので、全部を解決する必要がある。

 成功していないマルクス主義の政治的理想に中国が固執しているのは、まともなことではない。鄧小平の折衷主義は中国が発展途上国である間は上手くいったが、今日の高度に複雑な中国に古いレーニン主義を再度課せば、中国自身だけでなく世界全体にとって、より危険なことになりかねない。

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 経済に造詣が深く経験豊富なFTの主任経済コメンテーターのウルフによる、事実に裏付けされた優れた論説である。実際の記事には、多くの数値とグラフ等が掲載されているので、参照されることをお勧めする。

 まず、これまでの10年に加え更に最低5年間同じ指導者が継続することの問題点につきウルフが指摘する点は概ね納得できる。10年を超えれば如何に優れた指導者も通常は劣化するし、取り巻きにイエスマンが増えることで自浄作用も低下する。

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