「中東とロシアが輸出し、欧州と中国が輸入」の構図
下図は、世界を中東、ロシア、欧州、中国、その他の5つの地域に分け、その地域間の化石燃料のネットの輸出入量を集計したものだ。この図から言えることは、世界のエネルギー供給とは、大まかにいって「中東とロシアが輸出し、欧州と中国が輸入し、その他の地域は(石油以外は)概ね自給自足している」ということだ。そして、地域間純輸出量に占めるロシア輸出の割合は約4割もあり、どこかの国がロシアからの輸入を拒否すれば、他の国がその分を輸入しなければ全体の供給システムが破綻してしまう。
世界のエネルギー供給は「中東・ロシア」の輸出
と「欧州・中国」の輸入により均衡している
つまり、現在の世界各国が進めている交渉は、ロシアからエネルギー資源を「直接買って良い国」と「買ってはいけない国」にリシャッフルすることで、従来の供給システムの再構築を目指していることになる。このことは、戦争の行方にかかわらず世界のエネルギー秩序の大転換となるだろう。
そして日本は、……
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Wedge 2022年11月号より
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ
バブル崩壊以降、日本の物価と賃金は低迷し続けている。この間、企業は“安値競争”を繰り広げ、「良いものを安く売る」努力に傾倒した。しかし、安易な価格競争は誰も幸せにしない。価値あるものには適正な値決めが必要だ。お茶の間にも浸透した“安いニッポン”─。脱却のヒントを“価値を生み出す現場”から探ろう。