2024年4月25日(木)

Wedge OPINION

2022年10月27日

 世界は今後、ロシアからエネルギー資源を「買って良い国」と「買ってはいけない国」に二分される。国際的な供給システムが一変する中で、LNGトップランナーである日本が果たすべき役割とは。
 『Wedge』2022年11月号に掲載されているWEDGE OPINION「露が揺さぶるエネルギー秩序 日本発で〝新LNG構想〟示せ」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
日本はサハリン2プロジェクトを通じたロシア産LNG供給の継続を図るが、先行きは不透明だ(2013年、サハリン南部) (TASS/AFLO)

 9月7日、プーチン露大統領は、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムにおいて、〝価格上限策〟に参加する国には「ガス、石油、石炭、灯油、何も供給しない」と述べた。この〝価格上限策〟とは、イエレン米財務長官が中心となって、主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)など〝西側諸国〟が12月から開始する予定の新たな対露経済制裁のことで、ロシア産の石油を一定の上限価格より安い条件で海上輸送する取引のみを容認するというものだ。石油タンカーのための海上保険は、〝西側諸国〟に属する保険会社のシェアが約95%あることから、「海上保険の停止」をグリップにしてこの制裁が実現されることになっている。

 もしこの制裁がうまくいけば、ロシアの石油収入を削減しつつ、世界の安定的な石油流通と安価な石油価格が同時に実現することになるが、当然のことながら、ロシア側が輸出を拒否すれば成り立たない。一方で、米国財務省は通常の市場価格での取引を行えば事業者に経済制裁を科すと脅しており、世界の化石燃料供給は12月以降、さらに大きな混乱に陥る可能性がある。

 このように、ロシア・ウクライナ戦争は、エネルギー価格の上昇や欧州のロシア依存脱却という問題にとどまらず、世界のエネルギー供給システムそのものに不可逆な変化を与えようとしている。EUは8月にロシアからの石炭の輸入を停止し、12月に原油の輸入を90%停止、2030年までに天然ガスの輸入も停止することを計画しているが、日本を含むG7諸国も将来的にロシアからエネルギー資源の輸入をやめることで合意している。しかし、ロシア抜きの世界は成立するだろうか。


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