しかもこれは、海上自衛隊が保有する潜水艦16隻、ヘリコプター空母2隻、駆逐艦41隻、フリゲート艦6隻から成る高性能な艦隊を加える前の話だ。日本は近く、1万9千トン級のヘリコプター空母2隻のほか、新しい潜水艦や新型哨戒機「P1」を導入予定で、米軍と連携して水陸両用能力の増強に取り組んでいる。
さらに、安倍晋三政権は今年、日本の航空機と艦船の調達予算を増額した。米国と日本を足した艦隊は、中国の艦隊より数が多く、より近代的で、能力も高いわけだ。
米海兵隊の一部部隊を沖縄から移転させる取り組みは今も続いている。一部の海兵隊員は沖縄を去るが、太平洋地域にはとどまる。海兵隊は今後も空陸任務部隊を沖縄とグアム、オーストラリア、ハワイに1個ずつ置く。これらの部隊をバックアップするのが、海兵隊最大の戦闘部隊でカリフォルニアに本部を置く第1海兵遠征軍だ。
海軍と海兵隊のチームは継続的に日本国内および北マリアナ諸島の訓練場で自衛隊と定期訓練を実施している。日米両国が地域の同盟国や友好国との相互運用性を高められるよう、その他の国々もこれらの訓練場で演習を行う。
米空軍は太平洋地域に大規模な部隊を維持し、最新鋭のステルス戦闘機、F22ラプターとB2スピリットをグアムと沖縄に交互に展開し、空軍も地域の同盟国や友好国と定期的に共同演習を行う。
こうした軍事演習は、米国の戦略にとって不可欠だ。米国は2年に1度、世界最大の海軍合同演習である環太平洋合同演習(RIMPAC)を主催する。12年のRIMPACには、世界22カ国の艦船42隻、潜水艦6隻、200機以上の航空機が参加した。この演習は環太平洋地域の国々をハワイに集め、災害救助と人道作戦に軸を置いて訓練を行う。中国は14年のRIMPACに船を1隻送り込むと発表した。米国はこれに加え、日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドとの2カ国間および多国間軍事演習に定期的に参加している。
安全保障連合形成狙う安倍政権
米海軍の戦略家、アルフレッド・セイヤー・マハンは、シーパワー(海軍力)において最も重要な要素は国が置かれた地理的な位置だと指摘し、「港の状況を変えることは人間の力を超えている」と書いた。第一列島線上に位置する日本は対馬海峡から琉球諸島、さらには台湾に近い水域にかけて中国の外洋へのアクセスを遮断している。日本政府もこの事実を認識している。