2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月11日

 北朝鮮を巡るここ暫くの最大の問題は、米国を含め誰も解決に真剣に取り組んでこなかった、言い換えれば、解決しなければならないという優先性を感じさせる問題ではなくなってきたことだろう。オバマ政権時代の「戦略的忍耐」というのは、何もやらないことを正当化する呪文に過ぎない。

 10月12 日に発表されたバイデン政権下で初となる米国の国家安全保障戦略では、北朝鮮については「拡大抑止を強化しつつ、朝鮮半島の完全な非核化に向けて具体的な進展に向けた外交を模索する」としているが、要するに、現在と何も変わらないと言うことを意味するように見える。

われわれがすべき3つのこと

 北朝鮮が核を放棄することは、ウクライナ戦争後ますます非現実的になってきているが、その現実を公に認めれば、イランその他の潜在的核兵器国の背中を押すことになるので出来ない。

 もちろん、韓国新政権の確固たる姿勢や共同訓練再開による米韓連携強化といった前向きな動きもあるが、全体的には、現在の手詰まりから抜け出す光明は見えてこない。一方、それでも、この解説記事が示唆する方向に舵を切るのはマイナスの方がずっと大きいように思う。

 それでは、今の段階でわれわれは何をすべきなのか。第一に、北朝鮮に隙を見せないように、抑止力強化に万全を期すことである。台湾有事に備えそれを抑止するために行う各種努力は、これに資するのは明白だ。

 第二は、米国家安全保障戦略が言うところの北朝鮮との「外交」の模索である。何を目的に、どのような措置を取るのかを日米韓で緊密に調整することは常に有益であり、これが現在3カ国政府の間で行われていることだと予想する。

 第三は、可能性は引き続き相当低いとはいえ、北朝鮮の不安定化・崩壊とそれに続く朝鮮半島統一の可能性に備え、今の内から出来る準備を進めることである。これには、統一朝鮮半島の在り方に関する基本認識を何らかの形で日米韓ですり合わせることも含む。現在の韓国政権とは、このような議論も可能となることを期待したい。

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