北朝鮮による中距離弾道ミサイル発射は、ウクライナ情勢で揺れる世界にあらたな脅威をもたらした。
「挑発を執拗に繰り返す」(浜田靖一防衛相)背後にどんな意図があるのか、注意深く考察すると、包括的な核兵器の体系を完成させたいという金正恩の意図が見えてくる。
日米韓3カ国、とくに日本は外交努力に加え、米軍との軍事協力によって抑止、防御能力を強化すべきだという声も聞こえてくる。
交通機関に影響、新聞は号外発行
北朝鮮は9月25日からの1週間に、短距離ミサイルを7発発射している。4日早朝の発射は、これらとは異なり、飛行距離が過去最長の4600キロメートル、日本の上空を通過して太平洋に落下した。
わが国上空通過は2017年9月以来だが、いつでも標的になりうること、不測の事態で日本国内に落下する恐れもあったことから、岸田文雄首相が国家安全保障会議を招集、林芳正外相がブリンケン米国務長官と電話協議するなど、緊張感が走ったのは当然だった。岸田首相は夜になってバイデン大統領と電話協議した。
全国瞬時警報システム(Jアラート)が発動され、東北・北海道では交通機関に影響が出て、一部新聞は号外を発行する騒ぎとなった。
この時期、中距離ミサイル発射を強行した金正恩の意図については、さまざまな見方がなされている。
9月下旬に米原子力空母「ロナルド・レーガンが加わって日本海で行われた米韓合同演習、米国のハリス副大統領が先週、韓国と北朝鮮の境界にある非武装地帯を視察したことなどへの対抗措置と指摘されている。