Wedge REPORT

2013年5月29日

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 その後、与党が法改正で合意しても、国側は控訴を取り下げませんでした。むしろ、こちら側の提訴を取り下げるべきだ、なんて話もありました。国は地裁判決にしたがって改正をしたのに、なお控訴を維持しているのは、論理的には辻褄のあわない行動です。私たちは国こそが控訴を取り下げるべきだと考えています。

――今回の公職選挙法改正で、障害者の権利擁護の取り組みは一段落というところでしょうか?

佐藤:それが、そんなことはないんです。選挙権以外の欠格事項はたくさん残っています。成年後見制度が始まったとき100程度だった欠格事項は、今回の訴訟で国側が出した書面によると180ぐらいにまで増えています。

 被後見人は、公務員にも弁護士にもなれません。びっくりするのは地雷を所持することもできないんですよ(苦笑)。「対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律」の第六条にはこうあります。

 「次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。 (中略)四  成年被後見人」

 いかに機械的に禁治産制度時代の定めを移行させてきたかがわかります。

 「障害者の権利条約」という条約がありますが、日本がこれを批准するにはまだまだハードルがあります。成年後見制度も改めるべきところがあります。たとえば、後見人や保佐人には、本人が行った契約を取り消すことができるという「取消権」があるのですが、これは世界的にはどんどん改められています。本人の契約能力を簡単に奪ってはいけないからです。

 日本では成年後見人はオールマイティーの力を持つイメージですが、成年後見はあくまで本人の現有能力を活用し、本人の自己決定権を尊重する制度であり、後見人は本人をサポートする役割なんです。自己決定支援という側面からみた場合、成年後見制度は最後の手段(Last Resort)であり最良の手段(Best Resort)では決してありません。

 障害者の権利擁護の取り組みは、まだまだこれからも続けていかなければなりません。

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