2022年12月9日(金)

BBC News

2022年11月20日

»著者プロフィール

イギリスのリシ・スーナク首相は19日、首相として初めてウクライナの首都キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。スーナク氏はゼレンスキー氏に、防衛支援5000万ポンド(約83億円)の供与を約束した。

共同記者会見でスーナク氏は、「主権と民主主義の理念を守るため、これほど高い代償を払っている」人たちと会う機会を得て、「本日みなさんの国で、あなたとここでこうしていると、とても謙虚な気持ちになります」と述べ、ウクライナ国民の勇気は世界中を奮い立たせているとたたえた。


スーナク首相は、イギリスが今後も引き続きウクライナを支え続けると表明した。それに対してゼレンスキー大統領は、「戦争が始まった直後から、ウクライナとイギリスは最強の同盟関係を築いてきた」と感謝した。

スーナク氏は約束した支援パッケージは、ロシアの空爆や砲撃に対抗するためのもの。5000万ポンド分の支援内容には、対空砲125門のほか、イランがロシアに提供している攻撃ドローンに対抗するためのレーダーや対ドローン電子戦技術などが含まれる。

首相はさらに、ウクライナ軍の訓練協力を拡大するほか、軍医など医療従事者や技師をウクライナに派遣し、専門的な支援を強化すると述べた。

イギリス政府は今月初めにも、新しい対空ミサイル1000基を提供すると、ベン・ウォレス国防相が発表している。

スーナク首相は、ウクライナ軍が捕獲したイラン製ドローンを視察した。ロシア軍は数カ月前からウクライナの市街地攻撃にイラン製ドローンを使っている。

スーナク首相はさらに、戦争犠牲者のための慰霊碑に花輪を手向けた。さらに、1930年代のソヴィエト連邦でウクライナ人などが住んでいた地域に起きた大飢饉「ホロドモール」の犠牲者慰霊碑で、ろうそくをともした。市内の消防署で働く救急隊とも面会した。

共同記者会見でスーナク首相は、「イギリスが一番最初からウクライナとともに立ち、支援してきたことを誇りに思っている。そして私は今日ここに来て、イギリスをはじめ同盟諸国は、この野蛮な戦争を終わらせ、正義ある平和をもたらすために戦うウクライナを、引き続き支援し続けると申し上げる」と述べた。

「ウクライナ軍は戦場でロシア軍を後退させたものの、民間人は空から無残に爆撃されている。我々は今日、新しい対空防衛システムを提供する。それには対空砲、レーダー、対ドローン装備が含まれる。さらに、これから寒く厳しい冬を迎えるにあたって、人道支援も増強する」と、首相は話した。

キーウ訪問中にスーナク首相はさらに、世界食糧計画のウクライナ支援に1200万ポンド、国際移住機関(IOM)に400万ポンド提供すると約束した。

首相官邸はこうした支援によって、ウクライナに発電機や可動型の医療クリニックを提供できるようになると説明。イギリス政府はさらに、ウクライナ軍に耐寒キット数万点を提供する。

イギリスは現在、アメリカに次いで最大規模の軍事支援をウクライナに提供している。英下院の記録によると、これまでに230億ポンド相当を提供し、2023年には同レベルの支援を提供すると約束している。

政府はさらに、新兵を含むウクライナ兵1万人への訓練を120日以内に提供する。

ウクライナ復興支援会議を来年ロンドンで

ウクライナ政府はこのところ、ロシア軍の大規模な砲撃で国内のエネルギー・インフラの半分近くが破壊されているとして、国際社会に支援強化を求めている。そうした中でイギリス政府は、対空防衛の強化支援を約束した。

スーナク首相はこのほか、ロンドンで来年、ウクライナ復興支援会議を主催すると約束している。これは、国際的な資金調達を強く必要としているウクライナの政府や企業にとって、朗報となる。

イギリスの最大野党・労働党のジョン・ヒーリー影の国防相は、「ウクライナを支え、北大西洋条約機構(NATO)を強化し、ロシアの侵略に対抗するにあたり、労働党は引き続き、政府を全面的に支援する」とツイートした。

ロシアがウクライナ各地の民生インフラを一斉攻撃する中、インドネシア・バリで開かれていた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)において、ゼレンスキー大統領は「ロシアの破壊的な戦争は終わらせなくてはならないし、終わらせられると確信している」と述べていた。

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相も出席したこの会議で、スーナク首相はロシアに「ウクライナから出る」よう強く呼びかけ、ロシアの「野蛮な侵略」を強く非難した。首相は、「ウクライナがイギリスの支援を必要とする限り、我々は支援し続ける」とも強調した。ゼレンスキー大統領は「ロシアの破壊的な戦争は終わらせなくてはならないし、終わらせられると確信している」と述べていた。

ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、ボリス・ジョンソン首相(当時)は、早くからウクライナ支援を表明し、4月9日には開戦後のキーウを訪れる初の主要7カ国(G7)首脳となった。ジョンソン氏はその後も6月、8月にキーウを訪れ、ウクライナ支援を継続。ウクライナでは絶大な人気を得た。

開戦当時は外相だったリズ・トラス前首相も、ロシアを強く非難し、ウクライナ支援を表明し続けた。

(英語記事 Ukraine war: Rishi Sunak visits President Zelensky in Kyiv as he pledges £50m in aid

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63692200

新着記事

»もっと見る