2024年7月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月13日

 これで2005年の中印国境合意(実際の支配線である事実上の国境を尊重し守るという合意)が害された。中国は公然とこの合意を破り、インドが統治する地域にテントを張り、ここは中国領と書いた旗を立てた。インドの臆病さはそれを現実にしかねない。

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 この論説は中国の威圧的な外交にきちんと対応しない現インド政府を批判したものですが、尖閣諸島への領有権、さらに沖縄の帰属未定論まで中国が持ち出す中で、日本がどう対応するか参考になる点が多い。

 チェラニーが前提としている考え方、すなわち中国には強く対応すべきであり、短期的に中国との紛争をうまく収拾し、関係を良くするように腐心することは、結局中国を増長させるという考え方は、基本的に賛成できるものです。この考え方に立って、具体的な状況に応じて硬軟両様の対応をしていくべきでしょう。

 インド政府は、インドが領土と主張する土地から中国を撤退させたことを成果としていますが、緊張を高め、その緩和を代償に譲歩を得て行くやり方は、旧ソ連、中国、北朝鮮に共通したやり方です。

 今回のインドのやり方は、短期的に物事を先鋭化させないことを優先したもので、民主主義国の政治家が陥りやすい罠を中国に利用された感があります。中国は押したり引いたりしつつ辛抱強く目標を追求してくる、ということを十分に認識して対応することが必要です。また、中国は、軍事エスカレーションのリスクを無視して行動することがあります。ソ連との衝突の原因の珍宝島、ダマンスキー島はいまや中国領です。

 安倍政権は、基本的には良く対応していると評価できますが、国内広報、国際広報の面で、まだやれることがあるように思われます。日米安保による抑止力強化の他に、次のようなことをしたらよいでしょう。

 尖閣棚上げ合意のようなものがあったことを最初に変えたのは中国であり、1992年の中国による領海法の制定がそれであって、野田政権による国有化ではないことを、広報で強調すべきです。

 また日本は、日本として尖閣については領土問題が存在すると認識していないが、中国がそう主張するのならば、国際司法裁判所で本件に決着をつけたいと、中国にも国際社会にも明らかにすべきです。中国は応じないでしょうが、それで構いません。国際法重視の態度をとる日本に、国際世論の味方を引き寄せることになるはずです。中国も、それだけ武力行使をしにくくなるでしょう。

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