「災害救助予備隊を創設してはどうか」。民主党政権時代に設けられた「雇用戦略対話」で、若年雇用戦略について議論に加わった藤原和博・東京学芸大学客員教授は、そんな提案をしている。いつ起きるか分からない災害に備えて若者の力を結集しておこうという発想だ。30歳未満の希望者を1~2年間、国が「雇用」、最低限の給与も支払う。「若年失業者を吸収できるうえ、共同生活をさせることで若者を鍛えることができる」と藤原氏は言う。250万円で20万人を雇用しても5000億円の年間予算で済む。今でも雇用安定給付金として4000億円前後が使われている。
この予備隊を自衛隊の下に置くとなると「徴兵制につながる」「予備役ではないか」といった批判を浴びかねないだろう。だとすれば、『海猿』で若者の人気を得た海上保安庁や、『252 生存者あり』でイメージを上げた消防庁などとの連携もあり得る。
日本には伝統的に「町火消し」や「消防団」など、民間組織を作って有事に備える仕組みがあった。これがコミュニティの崩壊と共に、国の機関やプロだけに有事対応を任せるようになった。国民すなわち自分たちの生命と財産を守るためにはどんな官民の組織が必要か。憲法改正論議と合わせて考えてみてはどうだろう。
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