米アジア太平洋安全保障研究センター准教授のジェフリー・ホーナン(Jeffrey W. Hornung)が、5月22日付National Interest誌ウェブサイトで、歴史問題について、中国と韓国が日本を非難し続けるだけでは事態は改善されず、中国と韓国が日本はドイツのように過去を悔悟しなければならないと言うならば、両国はフランスのように和解の手を差し伸べなければならない、と論じています。
すなわち、中国や韓国による、日本との外交接触のボイコットが続いている。しかし、常識に反するかもしれないが、アジアには新しいアプローチが必要である。中国と韓国は、歴史問題、領土問題について異なる意見があっても、日本に対して、接近のイニシアチブを取らねばならない。
日本では、たしかに閣僚による靖国参拝も行われ、また領土問題もあるが、それに対して会合をキャンセルするのは正しいアプローチではない。
中国と韓国は、これで日本を孤立化させられると思っているかもしれないが、日本は国際社会で孤立しているわけではない。むしろ南シナ海における中国の行動の方が、中国を孤立化させている。世論調査では、日本は、国際社会に最も良い影響力を与えている国とされている。北朝鮮問題が切迫している現在、日、韓、中の対話を閉ざすべきではない。
もちろん日本側も事態の深刻さを認識しなければならない。靖国参拝は2国間関係と関係ないという麻生副首相の発言は、事態への認識の不足を示している。安倍総理も、尖閣への上陸を強制的に排除するというような発言をするに際しては、軍国主義への復活と取られないように配慮する必要がある。
しかし、歴史問題で日本を批判ばかりしていると、アジアの国際関係を見失ってしまう。
日本にドイツのようにせよというのならば、中国と韓国は、フランスのように和解の手を差し伸べなければならない。和解は一方通行ではない。それはすべての当事国の努力を必要とするものであり、それを達成する外交的な方法である会合をキャンセルすればその機会を失うだけである、と述べています。
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バランスのとれた、品格のある論文です。一言で言えば、歴史問題などで外交的会談をボイコットするなど大人気ないではないかということです。