ブルキナファソ見聞録

2013年6月19日

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岡田綾 (おかだ・あや)

JICA職員

1982年兵庫県西宮市生まれ。小学校6年生のときに阪神・淡路大震災を経験。2005年京都大学文学部社会学科、2007年同大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程修了。環境やコミュニティ防災について学ぶ。就職活動では、「その人自身のせいではないが、理不尽な境遇におかれてしまった人のために仕事をしたい」と考え、他の関心事項であった「途上国・国際協力」も満たす組織として、独立行政法人国際協力機構(JICA)を志望し、2007年入構。地球環境部、広報室などを経て、アフリカ勤務を希望し、2012年12月よりブルキナファソ事務所に赴任。

あるべき姿と変わっていく術

 色々なメディアを訪問していると、政府系メディアはどっしり構えて彼らなりのロジックがあり、民間メディアは政府系メディアに対する反発心というか民間ならではのプライドを持っていることがわかった。面会の場で各社の思想についてはなかなか話題に上らないが、当然ながら各社の考えはあり、お金がすべてという発想だけではない。今の体制が良かれと思って出来上がってきたのではなく、広告費を出してメディアのスポンサーになれるような企業が多くは育っていないという社会状況や会社の人員不足などが相まって、経営を維持するために個別の取材費の領収が生命線になっているという現実もある。

 また、特にラジオは地方部での情報源として大きな役割を担っていながら、約60もの言語を持つブルキナファソの場合、公用語であるフランス語を解さない人々も多いため、首都でフランス語で放送されたラジオ番組が、何十もの言語に翻訳され、各地方レベルのラジオ局で放送される、という非常に労を要する状況になっており、報道に手間と人件費がかかっている様子も伺える。

 今ある人々の認識を、この国の常識やメンタリティとして捉え、そういう文化なのだと判断してしまうのは理解不足だと、メディア行脚が教えてくれた。健全なメディアの在り方と現実の狭間で、メディア自身もさまよっているのかもしれない。

 昨日の昼休み、事務所のスタッフが、最近創刊された新聞を片手に「この新聞良いなあ」とつぶやいた。「どういうところが?他の新聞と何が違うと思う?」と読者の感覚を知りたくて尋ねてみると、各新聞の違いについて自分なりの判断があるようだ。政府系の新聞は必ずしも真実を伝えていないと思う、この新聞は現実の経済や社会を正直に書いていると思う、あの新聞も中立的で良い、などなど。読者自身の思考が反映される意見であり人によって見解は異なるだろうが、メディアを見ている読者がいるという事実と、先日のディレクターの反応に、これからのメディアとのお付き合いの可能性を見た。じっくり関係を深めることで、あるべき姿と変わっていく術を探したいと思う。まだまだ先は長いけれど。
 
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