2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年6月18日

 「外事領導小組の組長は歴代首相が務めることがほとんどですが、実質的に切り回すのは外交担当国務委員で、現在ならば楊潔篪ということになります。しかし外交担当国務委員といっても党内での地位があまりに低く、そのため他の組織と横断で何かを決める場合には調整に手間取るのが常でした。それを国家安全領導小組とし実質的トップに王滬寧を持ってきたことで大きく格上げし風通しを良くしたのです。王は党内で政治局委員であると同時に中央書記処書記でもあります。しかも、新しい組織には商務部長や国家発展改革委員会主任、そして軍の四総部の部長までが顔をそろえます」

 「現在、この組織は半月に2回のペースで会議を行い外交だけでなくさまざまな問題を話し合う場となっています。暫定的に対北朝鮮外交を担った朝鮮事務連絡小組の役割も当然今後は国家安全事務領導小組に引き継がれることになるでしょう。これにより中国の対外政策の決定スピードは格段に上がる。対北朝鮮外交も、中国がこれまでのような守り一辺倒であることもなくなるかもしれません」(前出の関係者)

習の誕生日には金正恩から祝いの手紙も

 現状、北朝鮮の招請に対してトップ2人が行く可能性はまだ低いとも考えられるが、今後の展開次第で大きく動くこともあるという。

 「14日の習主席の誕生日には金正恩からの祝いの手紙が届きました。北朝鮮外交は大きく動いています。外交部内では、『相手が来るのが先だろう』といった意見もでましたが、外交部と中連部(党中央対外連絡部)はおおむね積極的です。楊潔篪国務委員も王毅外相も劉洪才大使も水面下で動いています」

 はたして習近平への招請は中国が積極外交へ動くための呼び水となるのか。日本を取り巻く情勢は刻々と変化している。

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