メルセデス・ベンツのコンセプト
EVというのは基本的にモーターとバッテリーを組み込んだプラットフォームと呼ばれるベースユニットがあり、エンジンがないため床がフラットな構造となる。それだけ車体の自由度が高くなる。
これを活用すると、現代自動車が出した自動運転コンセプトのように、箱型の車というのも可能となる。ただし、走行速度が低い自動運転車両とは異なり、乗用車としてはバッテリーによる航続距離を伸ばすためにも空気抵抗などを考えた車体が必要で、必然的に従来の自動車に近い流線的なデザインが選ばれる傾向にある。
美しいフォルムが際立つ
この空気抵抗を極限にまで考え、かつ美しいフォルムを作り出していたのがメルセデス・ベンツのコンセプトEQXXだ。コンセプトとはいえ実際の走行実験も行っているEQXXは、欧州で普通の速度で1充電で1000キロ以上を走行、米国では1200キロ走破に成功した。
一般にEVの航続距離の最大値は非常に遅い速度で走行する部分も含めてバッテリーを最大に使用したものだが、EQXXは平均速度83キロでこの数字を達成している。
一時EVというと各社自動運転を見越して運転席のないドーム型の車を出していた時期があったが、自動運転が社会的に実装されるのはまだまだ先であるということが見えてきたためか、従来の乗用車型のものに落ち着いている。しかし、その中でもセンターコンソールのないインテリアなど、EVならではの個性を活かしたデザインが増えてきた。
実装されるかは未定だが、BMWのように色まで自由自在に変えられる車まで登場すると、未来の車のデザインバラエティは今後ますます増えるだろう。バッテリーのパワーを活かした加速度に優れた車もあれば、低速ならばかなり変わったデザインを導入することも可能だ。エンジンがないことで得られたデザイン性の高さこそが今後のEVの魅力につながっていくのではないだろうか。