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2023年1月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

AFEELA

 CES2023の数々の発表の中で、最も注目を集めたものの一つにソニー・ホンダ・モビリティ(SHM)によるプロトタイプとしての新車「AFEELA」が挙げられるだろう。2025年から予約開始、米国内では26年より発売開始を予定している。

 ソニーが最初に単独でのコンセプトカーである「Vision-S」を発表した場はCES2020だった。その後SUVタイプの車も発表、昨年にホンダと提携したSHMの立ち上げを発表し、ついに今年は協業によるプロトタイプを発表、と極めて速いペースで事業が展開している。

 今回発表された「AFEELA」は、Vision-Sの車体製造を担当したのが大手サプライヤーのマグナであったのに対し、当然ながらホンダである。ただし発表はソニーのブースで行われ、電気自動車(EV)の大きな関心事項である航続距離やバッテリー出力など、パワートレイン系の話題はなかった。

ソフトウェアの重要性、クアルコムの参加

 代わりにSHMの代表取締役会長兼CEO水野泰秀氏が語ったのは、ソフトウェアの重要性、OTA(オーバー・ザ・エア、無線通信)によるアップデートによる機能追加である。さらにコックピットデザインには米ゲーム会社大手エピックゲームが参加し、「車内でのイマーシブ(没入型)なエンタテイメント経験、ソニーの技術を用いた美しいモニター映像、全部で45個のセンサー・カメラを用いた安全性の確保と一部自動運転の導入」などが強調された。

 これをスムーズに実現するために新たなパートナーとして加わったのがクアルコム社で、同社が開発したスナップドラゴン「デジタル・プラットフォーム」が採用された。デジタルプラットフォームは、センサーやカメラなどで集められたデータのインテグレーションを行い、V to X(車と人、車同士、車とインフラ、車とeコマースなど、車と何かをコネクトする機能)を滑らかに可能にする役割を果たす。

 ここまでで明らかなのは、ソニーが車というものを自社が持つIT技術のショーケースと考え、ソフトウェア重視の車作りを目指している、という点だ。これはVision-Sを世に出した時にはっきりと言及しており、当時は「ソニーとして車を売るつもりはない。Vision-Sはあくまでソニーが持つ車内エンターテイメント、通信などの技術をパッケージとして見せるためのものだ」と語っていた。

 ただし発表後のソニーカーに対する期待は予想以上に高く、Vision-Sのパッケージングへの評価も高かったことから、実車の販売に乗り出す意欲が生まれ、そこからホンダとの提携話、そして発売へ向けたプロトタイプの制作、と進んできたことが分かる。


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