2023年2月2日付の台湾英字紙Taipei Timesの社説が、蔡英文総統とチェコのパヴェル次期大統領との電話会談は、中国が唱える「一つの中国」の原則と他の国々の「一つの中国」政策の違いが明確化していく文脈において重要である、と指摘している。
蔡英文総統は1月30日、チェコの大統領に選出されたペトロ・パヴェルと電話会談を実施した。これは台湾の「外交クーデター」とみなされている。台湾とチェコとの間に正式な外交関係はない。それゆえ、総統と次期大統領との会話は重要である。
これは2016年12月2日のトランプ次期大統領(当時)と蔡英文との電話会談と比較される。当時、多くの者は、トランプが祝福の電話を受け取ったのは、彼の無知または性格ゆえだとした。しかし、高碩泰・前駐米代表は、トランプとの電話は偶然ではなく、駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)の1 年にわたる準備の結果だと言っている。1979年以来初めてとなる米次期大統領と台湾総統との接触は「外交クーデター」であり、当然、中国は快く思わなかった。
パヴェル次期大統領は、昨年2月のウクライナ侵攻まで中露との友好関係を促進していたゼマン現大統領より西側民主主義諸国と積極的連携をすると約束している。欧州連合(EU)は最近、親台湾をより明確にするようになっている。パヴェルが蔡と直接対話したのは欧州国家元首としては初めてである点は注目に値する。
パヴェルは、チェコは主権国家であり自ら正しいと信じることをなし得ると述べた。電話の中でパヴェルは、あらゆる分野における台湾との協力強化への関心を表明した。同氏が、チェコの「一つの中国」政策は、中台に同時に接するに際して矛盾なく大きな柔軟性を認めるという「二制度」の原則により補完されねばならないと述べたことも重要である。
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1月30日、蔡英文総統はチェコのピーター・パヴェル次期大統領と電話会談を行った。Taipei Time 社説はこれを「外交上のクーデター」に等しいと述べている。「外交上のクーデター」という表現はやや大げさだが、欧州の国家元首と台湾総統との初の直接対話の実現は、台湾にとって一大快挙であることは間違いないであろう。
EU諸国は最近、親台湾をより明確にしつつある。特にウクライナ侵略が始まってから、自由・民主・人権尊重の価値観を共有する台湾への親近感が強まりつつあるように見受けられる。
振り返ってみれば、2016年12月、大統領に就任することとなったトランプと蔡英文総統は電話会談を行い、蔡が祝意を述べたことが思い起こされる。この時、トランプが電話会談に応じたのは、「偶然の事故」のようなものとも言われたが、実際には、在米台湾代表処が約1年間にわたって米国側に働きかけた結果実現したものであったことは、周知の事実である。