世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月24日

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 10月26日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が、最近、中東欧諸国が台湾に接近し、中国はこれに激怒している、との解説記事を書いている。中東欧諸国がなぜ台湾に接近することになったのか、その原因として、WSJが指摘する主たる点は次の二点である。 

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 第一は、中国との貿易や中国からの投資が当初期待されていたほどには効果を挙げていないことである。「一帯一路」の対象地域になるなどと宣伝されていたが、その実態は明確ではなく、中東欧諸国に経済的実利をもたらしていない。さらには、もし中国からの債務が増えれば、それがどのような中国の対応を生み出すかよくわからないことへの恐怖心も手伝っているようだ。 

 第二に、覇権主義を強めつつある専制独裁国家としての中国は、 とくに冷戦期にソ連から属国扱いをされた東欧諸国にとっては、その当時の悪い記憶をよびさます存在となってきた。 

 台湾と中東欧諸国の接近ぶりを示す一好例は、昨年チェコの上院議長一行が台湾を訪問した際、台湾議会で演説し、「私は台湾人である」と述べたことであり、この言葉は台湾において大きな反響を呼び興した。最近、呉釗燮外交部長(外相)がチェコやスロバキアへの訪問を行ったことは、このチェコ上院議長の台湾訪問への返礼と見ることもできよう。 

 リトアニアは、台湾との間で事実上の大使館連絡事務所を開設することに合意し、このことは、中国のきわめて強い報復的反発を引き起こした。リトアニアは台湾との間の代表所の名称を、通常の 「台北経済文化代表所」にかえて実態に即して、「台湾代表所」へ変更しようとしている。これが中国を激怒させ、中国は駐リトアニ ア中国大使の召還と駐北京リトアニア大使の追放という措置に出た。 

 さらに、本年11月に入ってから、欧州連合(EU)欧州議会代表団が台湾を訪問し、フランス人団長(グリュックスマン)は、「台湾は決して孤立無援ではない(Taiwan is not alone)。ヨーロッパの長期的利益にとって、台湾の民主主義は決定的に重要」などと発言した。 

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